文句あんのか | ナノ
見慣れた光景


妊娠してからと言うもの、遼はルッスなどから大反対を受けて任務は引き受けなかった。所謂産休扱いだが侵入者探知機としても使われている。遼も勘が鈍るから、と引き受けているのだからお互い様だ。

「王子。北に25と東西にそれぞれ50ぐらい。」

「距離は?」

「俺のギリギリ。1人気配消そうとしてる。北が精鋭っぽいな。人数すくねぇし。」

「遼って本当に便利だね。遊んでくる。」

「指示出せよー。ユリちゃんいるんだから。」

ヴァリアーの切り札、遼は侵入者を排除するのと指示を出す事だけを要請されている。それが遼にはつまらないのだ。元々好戦的な性格で、来る者拒まず叩きのめしてきたのだから。

「遼、北は片付いたよ。」

「了解王子。そのまま西に。東はユリちゃん行ってるから。」

「遼さん東終了しましたー。負傷者三名。死亡者無しでーす。」

「了解ユリちゃん。撤収していいからな。」

すげーつまんないんですけど、と思いつつコーヒーを飲みながらのんびりしている遼。傍から見ていると、独り言を言っている怪しい人だ。20分もしない内に片付けられた。

「遼さん、バカ鮫センパイ帰ってきましたー。」

「わざわざ報告しなくていいっつーの。ユリちゃん紅茶飲むか?今なら俺手作り焼きたてチーズケーキあるぞ。」

「食べまーす。ベルセンパイの分残さないとハリセンボンですよねー。」

殺伐とした日常と平和な日常が混在するヴァリアー。遼は何だかんだで好きな空気だったりする。

「ワンホール食うつもりかよ。」

「遼さんの作ったものってサッパリしてて食べやすいんでーす。本人ねちっこい割に。」

「王子ハリセンボン許可すっからちょっとコイツの一言多い性格直して。」

「遼の許可なんて要らないし。だってオレ王子だもん。」

「ロイヤルミルクティー淹れっから。」

お茶を淹れる遼はお盆でナイフを叩き落としながら、何本リサイクル出来るだろうと考えていた。

「終わったか?ケーキ食おうぜ。」

「ベルセンパイ痛いでーすパワハラでーす。」

「遼今回の茶葉は?」

「アッサム。ケーキ切ったから早い者勝ちな。」

「シカトですかー?2人共ー。」

こうして当事者的には平和な午後のティータイム。夕食時はテーブルや椅子が飛び交う。

「ねぇ遼。バカ鮫にまだ言ってないの?」

「あぁ。うん。うるせぇから黙っといて。またなんか作るから。」

「遼さん服繕って貰えませんかー?気に入ってるんでーす。」

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