文句あんのか | ナノ
一番の貧乏籤


レヴィと殆ど接触しない遼だが、レヴィはかなり気の毒な役回りになっていた。スクアーロの惚気を聞かされるのだ。

「お前も遼見ただろぉ?戦ってる目が一番綺麗だよなぁ。泣いてるあいつ本気でこっちが泣きたくなるんだよなぁ。もう二度と泣かせたくないし後悔は山ほどしてんだぁ。あの目が真っ赤になってんの見ていいのは俺だけだろぉ?」

こんな調子で延々と聞かされるレヴィ。しかもバリエーションがやたらと多いのが辛い。絡み酒のスクアーロは、酔うと声は大きい上にペラペラと話す。しかし遼の前では飲まない。禁酒中の遼が怖いからだ。

「遼は別れるつもりだっただろう。」

たまに相槌を打たなければならない、最悪の役回り。ザンザスなら即問答無用で黙らせるが、スクアーロの鬱憤は溜まっていくので相手をしてやるしか無い。

「別れたくねぇし一生かけてでも償いたいんだぁ。たかが酔った勢いと付き合いで時間かけて嫁にしたかった女手放せるかぁ。遼は最高なんだからなぁ。」

遼本人が聞けば、激怒まではいかなくとも何かが飛んできそうな、歯の浮くような賛美の数々と赤裸々すぎる話。…酒は人を変える。自分勝手な話でも、腰を折ると遼の部屋に突撃して返り討ちに遭う。酔いつぶれたフリをして寝ても、延々と続くのだからタチが悪いにも程がある。レヴィは任務を多々引き受けているから、遭遇率は低い。それでも精神に多大なるダメージがある惚気だ。

「子供が出来た時はマジ嬉しかったんだぜぇ?遼に似た顔で俺譲りの銀髪だったらとか、何歳になったら剣仕込んでやるかとか、怪力だったらどうするかとか考えたしなぁ。」

「…お前は日本人か。」

典型的な酔っ払いで、しかも話続けるスクアーロに思わず言ってしまった。大きな声で歌い出さないだけ、まだ救いがある。

「遼が好きでいてくれんなら日本人になっても別に構わねえぞぉ。それこそどこまでも。一緒に居られんなら、地獄だろうがどこだろうがついて行くモンだろぉ?」

完全に酔っ払いのスクアーロに、それは昔日本女性に求められた価値観だと言う気にもなれないレヴィ。ヴァリアーのたゆまぬ努力で遼とスクアーロは激突を免れている。

- 209 -


[*前] | [次#]
ページ:






メイン
トップへ