文句あんのか | ナノ
歪んだ刃は叩かねば
「おい。」
「結構知ったかするよなコイツ。サノも被害に遭ってねぇか?」
「随分昔にやられて腹立ったな。」
「あーやっぱ?俺も腹立ったんだよなマジ。あん時確実に仕留めときゃ良かったかなぁ。世の為人の為サノの為。」
「…おい。」
「明らかに私怨混じってんだろうがカス。」
「あっはっはっは、俺そんな素晴らしい善人に見えんのかよ?」
「ゔお゙ぉぉい!」
「あ、復活した。どーしよっかサノ。離婚届出してんの?」
井戸端会議中と言うか、スクアーロの悪口合戦中。毒気が抜かれた2人は酒盛りでもしているかのように、凄まじく軽い調子で話していた。主に遼が。
「出してねぇ!!惚れた女は遼だけだぁ!」
「何度も浮気されてる身分としては説得力氷点下で口説き方下手くそ。」
「そのカス鮫に惚れたカスはどいつだ。」
「はーい遼君でーす。ちゃんとかさんとか似合わねえな。自称するには。次やったら殺していいか?」
「カスがヴァリアーに残るなら。」
「よし、交渉成立。荷物纏めるから何人か貸してくれ。一晩でやるから。そこのろくでなしうるせーから俺の能率落ちるし。」
「一晩って寝ないつもりか!?」
「別に帰らなくていいならこのまま日本に居座るぞ俺。許すなんて誰がいつ言った?」
赤いザンザスと黒の遼の目に見据えられて、逆らえるヴァリアーのメンバーは居ない。本気で怒らなくとも充分強いからだ。一般人も逃げる眼光の強さ。2人揃えば凶悪さも一入。
「…遼、一生かけて償わせて下さい。」
スクアーロがプライドを折った瞬間だった。
「昔の女の子向け小説みたいなセリフだな。許されない、死ぬまで償う罪の1つや2つ増えたって平気なワケか。」
せせら笑う遼にスクアーロは顔面蒼白になった。
「…遼。そんなに信用無いのかぁ…?」
「あったらおかしいって日本人的に。生い立ち調べたの知ってんだぞ。」
「そう…だなぁ…。」
「呼んだぞカス夫婦。さっさと支度しろ。」
比較的テンションは高くとも、スクアーロが再び名指しで呼ばれる日は遠く、とりあえず帰ってきて良かったと一部を除くメンバーから喜ばれた遼であった。スクアーロ不在の折、遼がある意味ヴァリアーの安定剤代わりだからだ。
「カスカスうるせぇよ能無しがぁぁ!!」
「誰が能無しだ俺直々にカッ消してやる!」
ある意味元通りだが、きっちり寝室を別にしている辺り遼は根に持っている。
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