文句あんのか | ナノ
戦場に立つ女王
パソコンの前で頭を抱えている遼。頭では深謀遠慮が巡っては却下され、にっちもさっちもいかなくなっていた。
「高々日本人の女1人に大将が出るとか反則だろ。大人気なさすぎだぜサノさんよぉ…。」
スクアーロの気配はすぐそこにある。ザンザス到着までに逃げられる可能性は、低すぎる上に間違い無くスクアーロと出くわす。高層マンション最上階があだになった。飛び降りれない高さではないが、それはコンディションが許さない。
「ドアも一撃粉砕するよなサノだし。総監助けていやマジで。カタギじゃないお兄さんが乗り込んでくるんですけどー。」
無茶な注文だ。ボンゴレは日本で疚しい事をしていないし、ヴァリアーなど最重要機密に近い。コネをフル活用しても時間稼ぎにすらならず、彼らは死ぬ前提になる。博打にもならない。国際手配されていれば話は別だが、ヴァリアーがそんな失態を犯す筈もない。遼の力が確かに強いから、ヴァリアーも求めるのだ。
「ユリちゃんの幻覚でもシャレにならねえ。真っ当な日本人になろうとしてんのにコレってイジメ?」
携帯を見て顔が強張る。今は亡き\世直属と称しているので、融通が遼としては無駄に利く。下手をすれば戦場になりかねない。箱を使われれば色んな意味でアウトだ。
「…死ぬ気は更々ねぇ。なら戦うしか無いな。」
持ち得る最高の装備をして遼はコーヒーを淹れた。高揚感が体を支配する。
「母親の戦い、しかと見届けろよ。生き延びてやるからな。」
先ほどまでの打ちひしがれた遼はどこにもいない。腹をくくって、生へ執着する戦士の顔。
「…どちら様でしょう?」
「カス鮫と話したのか。」
「はい。終わりました。イタリアには、行きませんので。」
「入れろ。」
「ご随意に。」
鍵を開け、ドアを開くとスクアーロとザンザスが立っていた。フランや骸の気配は無い。100%本人と言うことだ。
「…この期に及んでまだ執着するたぁ、女々しいモンだな。」
「遼。俺には、遼が必要なんだぁ。」
「飾りの人形なら他当たれや。で、サノ。大将が出て来て何すんだ?」
スクアーロへ視線すら向けずにザンザスを見る。
「本気でヴァリアーから逃げられると思うか?」
「逃げ切る自信はねぇな。倒すだけならともかく、戦うにはコンディション最悪だし。」
事実、日に日にお腹の子供は大きくなっている。体重も当然、比例する。その状況でも戦おうとしているのだ。
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