文句あんのか | ナノ
月日かっ飛ばし
フランがやって来た日。時間もタイミングも悪すぎた出会いだった。
「サノさぁ、この有り難い命の水がどんだけプレミア付いていくらすんのか解っててカパカパ飲んでんのか?」
「そういうテメェもボトル何本飲みやがった。」
「五本まで数えてた。おにーさん酒の肴無くなったから追加ー。」
「飲み屋と一緒にすんなカス!」
今まさに飲み比べ中の酔っ払い2人。通常より攻撃力は二倍を越える。ちなみに似たような会話が毎回行われている。
「…完っ全に出来上がっちゃってるわね。遼ちゃんもボスも。」
「ゔお゙ぉぉい!遼!飲みすぎだぁ!」
「うるせえカス鮫!!」
「うるせえスペルビ!」
唱和しながら空き瓶が容赦なく凄まじい勢いで飛んできた。殺人的な勢いだ。
「あのー。あれが作戦隊長の奥さんの遼さんですかー?ミーの目にはガラの悪い酔っ払いにしか見えませーん。」
スーツ2人ではそうも見えて当たり前だ。
「ルッス、誰だそいつ。」
グラスを豪快に傾けながら遼が尋ねると、ルッスは嬉しそうに答えた。目が向けられただけ、ラッキーだからだ。
「マーモンがいなくなっちゃったから、新しい子。幻術担当のフラン君よ。」
「よし、愛称ユリちゃんに決定。俺は遼。前は関東最強だとか言われてた日本人だ。」
「名前スルーですかー?フランですー。不本意ですがヴァリアーに入れられましたー。」
「つーこた俺より弱いワケか。」
ハンッ!と鼻で笑い酒を更に飲んでいく遼。ベルがいると大概バトルをしているので、腕はちっとも鈍っていない。任務も度々殲滅に参加している。
「フラン君、今は喧嘩売っちゃダメよ。お酒の入った遼ちゃんはスクアーロも投げちゃうから。」
「そこで顎さすってる旦那さんを投げるー?どういう事ですかー?」
どういう事も言葉通りなのだが、事情を知らないフランに説明するルッス。フランは疑いの眼差しをスクアーロにかけた。
「真面目に人間ですかー?そんな人を奥さんにする作戦隊長って趣味悪いですー。」
「遼ちゃん髪の毛伸びてスタイル良くなったのよ。お肌もツヤツヤで羨ましいわぁ。」
「タンターン、サノが潰れたぞー。俺も寝る。やっぱ酒入るとあちーな。」
上着を引っ掛け、ボタンを外しながら自室へと向かう遼に慌てるスクアーロ。かなり飲んでいるが、寝るまで気を抜かない。
「後の注意事項は、殺す気でかからないと逆に殺されるわよ。ボスとも互角以上なんだから。」
本当に人間か?とフランが思うのも仕方がない。
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