文句あんのか | ナノ
行ったり来たり


放任主義で育った遼は、世話好きという訳ではない。子供は好きだが、マフィア関係となると容赦は全くしない。

「で、ヒバキョンを呼んでくれと言いたいのは解ったが俺のメリットはなんなんだ。」

「本場本格イタリア料理レシピ百選プラス道具一式はどうだ。」

「乗った。」

リボーンに頼まれ、遼は大きく息を吸うと叫んだ。

「ヒバキョンのロリコォォォン!!」

「何言ってるの佐々木。」

廊下で大絶叫した遼はリボーンを肩に乗せて、腕を組んでいる。応接室から走って来た雲雀は遼を睨んでいる。一触即発に見えない事もない。

「な、便利だろ。無い事無い事叫べば出て来るぞヒバキョンは。」

「あぁ助かったぞ遼。後でメールしておく。」

「了解。ヒバキョン、俺は単に姫ちゃんに頼まれただけだから。俺から喧嘩売る予定無いから。」

ぴょんと遼の肩から降りたリボーンは雲雀を見上げているが、肝心の雲雀は凍てつかんばかりの目で遼の背中を見ている。

「赤ん坊…佐々木は僕の獲物だ。」

「修羅場は遼の方が場数踏んでるからな、簡単には咬み殺せないぞ。」

「だからこそ、咬み殺したい。強い肉食獣は狩り甲斐がある。最強の名に興味はない。」

ニヤリと笑う雲雀は、それだけで一般的な生徒達を恐怖のどん底へ叩き落とす。遼と戦っていれば阿鼻叫喚だ。

「あれ、ヒバキョンの鳥じゃん。…ワックスでゴワゴワな俺の頭好きだな。」

「ヒバリ、カミコロス!ヒバリ、カミコロス!」

「簡単に死ぬかよ。肋骨キレイにへし折っても死ななかった奴だぞ?」

今頃学校内はうるさくなって授業どころではないだろう、とカバン片手に屋上へ向かう遼とヒバード。

「英語はヒアリング出来りゃ問題ねぇし、何読むかな。」

教科書を手持ち無沙汰にパラ読みしながら、ヒバードの音が外れた校歌を聞く穏やかな昼間。一定以上の質量を持つ、生き物の気配は察知する野生動物状態。ヒバードが飛び立つと共に口を開く。

「俺に用か?タンタン。」

「ボスの御命令だ。今すぐにイタリアに来いと仰った。」

「レヴィ・ア・タン。俺一応テスト前の学生。かなりの長丁場に付き合う暇はねぇぞ。」

「引き摺ってでも、連れて行く。生きてさえいればボスはいいと仰った。」

遼は教科書を仕舞い、空を仰いだ。今にも雨が降りそうな曇天。少し分は悪いが暗にレヴィが遼を殺せないと聞いた。

「離陸時間は。」

「今すぐにでも。」

「そりゃまた準備のよろしいこって。どーせタンタン叩きのめしたら空いてる奴ら総出だろ?行ってやる。お前らの相手めんどくせぇから。」

再び、イタリアへと飛び立つ遼だった。

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