文句あんのか | ナノ
AKY
恋に障害はつきものだが、スクアーロの恋路は果てしなく罠だらけの茨道。第一に、ヴァリアーとしての任務があり家主不在の確率が高すぎた。
「星君、ユニフォーム何枚ダメにしたんだよ。」
「全部ダメになったんだよなー。膝、肘、佐々木が強化してくれたのにな。」
「…野球ってそんなバイオレンスなスポーツだったか?試合は爽やかなイメージしかねぇぞ。」
遼お手製ハンバーグのおかわりをしながら笑っている山本。遼は食べ終わって、山本の練習用ユニフォームをちくちくと縫っている。補強も怠らない程度には、嫌いではない針仕事。
「スライディングとかよくするからな、やっぱり買うにも高いから佐々木に頼むのが一番!」
「剣術教えてくんねーのにな。面白そうだから見せてくれよ。」
「見るだけなら全然オッケーなのな!」
「星君日本語間違ってっから。」
「ひふれほーへんひゅーっへ教えちゃいけないんだって聞いたんだ。」
「食うか喋るかどっちかにしろよ。女子高生じゃあるまいし。」
ちなみに山本の父、剛は仕事中である。喋りながらも丁寧に縫っていく遼の手は大きい。
「ご馳走様!後何枚?」
「これで終わり。補強用の布買っとけよ。無くなったから。」
「さっすが佐々木!並盛の大魔神!」
「…ちょっと横浜に向けて並盛1美しい土下座しろ。俺でも知ってるぞ。」
チラッと山本を見てまた針仕事を続ける。
「でも佐々木って関東最強って言われてるの本当なのか?」
「マジ。最初は人間片手でブン投げて終わってたんだけどな。」
「やっぱり力強いんだな!野球またやりたい!」
屈託なく笑う山本は、吹っ飛ばされた記憶を放棄しているかに見える。
「キャッチボールがまともに出来るようになったらな。」
「バッティングでもいいから!」
「160キロ以上出すぞ。」
本来ならば異常な数字でも遼はやりかねない。打つのは学校でも有名なぐらいの飛距離だ。素で馬鹿力な遼が破壊した文房具は数知れず、シャーペンなどあっさりへし折る。
「望むところ!佐々木の球打てたらプロ行けそうだからな!」
「ただキャッチャーがいないと思うぞ。」
キャッチャーと書いて尊い犠牲と読む、命知らずの野球部員はいない。山本には懐かれているが他は怖がっている。
「頼んでみるから約束な!決まったら教える!」
「了解。ほい、終わったぞ。」
その後時雨蒼燕流の技を見て、満足して街に出る遼だった。
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