文句あんのか | ナノ
女の子同士の会話
「…頼むのは自由だけどさ。なんで俺?」
京子に鬼気迫る形相で料理を教えて下さい!と頼まれた遼。事は、笹川兄が山本から遼のご飯は美味しいと聞いて話が流れたのだ。
「お兄ちゃんが言ってたんです!佐々木先輩の料理は上手で美味しいって!」
「レシピありゃ出来るだろ普通。一人暮らしなげぇし身に付くもんだ。」
身も蓋も無いが、遼はその程度だと考えている。ザンザスに和風の肉料理を所望され、すき焼きの材料とレシピ(日本語表記)を送ったぐらいだ。
「それは、そうですけど…味付けとか!」
「さしすせそで和風は終わりだな。レシピに書いてあるし。」
会話が続かない。慣れている遼にとって、初心に返るのは難しい。人を殴った時や、殺した時もあーやっちゃった。で終わっている非常識な日本人だ。
「隠し味とか!」
「人による。」
鯖の味噌煮に梅干しや、有名なカレーにチョコレートなど多岐にわたる。一概にこれと言う答えは無い。会話を続ける意思も見えない状態だ。
「…佐々木先輩って何を作るんですか?」
「材料で適当に。後は気分だな。」
金持ちの家に生まれ育った遼に、材料費や用具代で困る事など無い。加えてスクアーロが休みならば居座っているので、少ないと文句を言われるぐらいだ。
「例えば…?」
「最近は魚が多いな。カレイの煮付けとか鯉こくとか生姜使いまくってる気がするぞ。」
連日魚料理でも平気な遼は買ってきては捌いて保存したり、酒のつまみにしたりする。ただし、スクアーロが居ると飲めない。絡み酒のスクアーロは酔うと声が更に大きくなるからだ。近所迷惑甚だしい。
「生姜ってそんなに使うものですか?」
「肉にも魚にも使うからな、俺は。」
香辛料をかなり豪快に使う遼は、同じものなのに味付けが薄かったり濃かったりする。気分で決められるのは作り手の特権だ。
「へぇ…勉強になりました!有り難う御座います!頑張ります!」
「へ?あぁうん。よっぽどの事がなきゃ失敗しねぇから。」
何がどう勉強になったのか全く解っていない遼。そもそも人数によって全て分量が変わるのだから、教えたつもりは欠片も無い。教えるのは得意ではないし、ツナに散々みんな出来ると思うなと言われている。
「味見をお願いします!」
「…だから、なんで俺?」
喜んで食べる連中が掃いて捨てる程、京子は人気があると知っている。ただし、全員あてにならない評価だろう。
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