文句あんのか | ナノ
毎回ガラス割る


保健室にてシャマルから腕に食い込み突き刺さったガラスを抜かれている遼。雲雀と一戦交えたのだ。

「ハリが違うよな、若い女の子は…。」

「蹴り飛ばすぞ。足は無傷だからな。つーかこんなもん自分で抜けるっつーの。消毒して包帯巻いときゃ治るだろ。」

「早く育つべきところ育ってくれよ…。」

「スルーの上に植物扱いかテメー。」

眉間に皺は寄らずとも気が高ぶっているので、沸点が異常に低い状態だ。瞬間的に切り札を出さなければ、蹴り飛ばされる距離。

「腕は終わったぜ。他に怪我はあるか?」

「腹に蹴りが入ったな。内臓はやられてねぇ。痣になるだろうな。だから湿布くれ。」

ペロリと制服を捲れば、ある意味見事な足跡。鍛えられた腹筋があるから、内臓に影響が無かったのだ。

「乙女の柔肌に蹴り入れるたぁ雲雀も外道だな。」

「…乙女?誰が?」

戦っている遼を見て、誰が乙女などという清らかな存在に見えるのか?と遼本人すら疑い、否定する事をさらりと言ってのけるシャマル。

「遼ちゃんが。育ち盛りだからな、まだ希望は捨てるなよ?」

「…砂漠…。なんの希望だよ。早く湿布くれ。」

「貼ってやるから制服上げといてな。」

ぺったりと湿布を貼られ、生傷の絶えない傷だらけの肌を鑑賞するシャマル。暑さを極度に嫌う遼は、肌が白い。傷痕は幾多の死線を潜り抜け、生き抜いた証なのだ。

「…色気の無い俺の腹見て楽しいのか?」

「いや、牛乳飲むと育つって聞いたから勧めようかと思ってな。」

「縦に伸びる希望は捨ててぇんだけど。」

「いや胸がブフォッ!」

凄まじい音を立ててシャマルはドアと共に、遼から吹っ飛ばされた。拳で。

「よし。腕はマトモに動くな。」

ボロボロの制服を申し訳程度に整え、カバンを取りに教室へ戻る遼。パラパラと壁からコンクリートの欠片がシャマルに降り注ぐが、遼は気にしない。並盛の秩序と言われる雲雀は現在、病院に搬送されている。カバンを持ちながら腕や手を動かし、悠々と自宅に帰り夜の街を闊歩する。

「…イタリアに比べたら平和だな。」

「ゔお゙ぉぉい!帰るって言っただろうが遼!」

「聞いたけど待ってやるたぁ言ってねぇ。飯食ってねえのか?」

関東各地に点在する遼の父が所有するマンションの屋上、人混みを眺めながら遼は眠くなったし帰るか、とスクアーロと共に自宅へ帰るのだった。ちなみに遼はベッドだがスクアーロはソファで寝ている。

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