文句あんのか | ナノ
暇だし探検!
ヴァリアー本部、即ち機密が山ほどある訳だがイタリア語を読めない遼は好き勝手に歩き回っていた。通訳と言うか監視にスクアーロがついているが。
「広いからか?下っ端大分すくねぇな。」
人の多い場所を好む遼としては不満だ。早くも日本に帰りたい、とすら考えてしまっている。人口密度の高い関東が好きなのだ。
「駆り出されてたり死んだりしてっからなぁ。」
「暗殺ってそんな難しいか?背後から首とるだけだろ?」
つい最近読んだ戦国時代物の小説の影響で、かなり過激発言だ。
「銃弾の雨とか考えろぉ!遼の真似をホイホイ出来たら下っ端じゃねぇ!」
「あ、そりゃ確かに。でも幹部連中は同じ手が効かねえよな。自販機真っ二つはビックリした。」
片耳を押さえながら呟く遼だが、投げた自販機を切られた時、真剣に生命の危機を感じたのだ。
「俺が驚いたぞぉ!?自販機投げつける素人がいたんだから!」
「解ったからもうちょい静かにしてくれ。耳いかれそうだ。」
ある程度慣れたとは言え、大きすぎるスクアーロの声は至近距離で聞きたくはない。
「加えて女だったのも驚いたなぁ。腕斬ろうとしても逆に剣が曲がったし。」
「俺はサイボーグか。ナンバーはいくつだ。汗も血も流れるサイボーグってなんなんだよ。貧血で死にかけるんだぞ普通に。」
爆薬仕込みの剣により、一時期片腕が使い物にならなくなったが、それでも勝ち続けるのだ。火傷と裂傷の痕は残っている。
「だから嫁に来いって言っただろぉ?」
「年齢考えたら受験生の敵ってロリコン疑惑浮上するよな。」
肩を組まれ、入り組んだ本部内で遼の知らない道を歩き部屋に戻る。
「俺が惚れてんのは遼だけだからなぁ、色気だなんだねぇだろぉ。」
「そりゃそーだ。中学生に色気とか求めるなよ。見た目でアウトだろ。」
「血塗れの遼は美人に見えるぞぉ?目が違うからなぁ。」
「目以外に価値無しかよ。つーか、戻ってねぇか?方角的に。」
「もう判ったのかよぉ。」
「東西南北は、な。まぁやる事無さそうだしな。」
何の為にイタリアまで来たんだか、と首を竦める遼だがメインは終わったと考えている。現時点では遼が最強なのだから。
「殺しに疲れてはいなさそうだけどなぁ、休みはいるだろぉ?」
「いや学校行かなきゃいけねぇよ義務教育中なんだから。」
酒を飲み、煙草を辞める中学生。説得力は皆無だ。不良と言うにはフレンドリーすぎて、カテゴライズ出来ない。
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