文句あんのか | ナノ
中学生の偏見
話長っ!と思いつつも質問には律儀に答える\世の話に付き合った遼。本部に戻るなりぐったりした。
「…爺の話の長さは万国共通なのかよ…。」
「遼も話好きだろぉ?」
「限度って知ってるか。三時間だぞ三時間!延々とボンゴレの歴史語られて散々だったんだ!」
とりあえずコーヒー、とお茶菓子を食べながら疲労を隠さない遼だが瞬時に臨戦態勢に入れる。
「…長いからな、歴史。」
「解ってくれて嬉しいわスペルビ。」
猫なで声に女口調、ゾワッとスクアーロは鳥肌が立ってしまった。
「遼。その裏技は止めてくれぇ!」
「連発しねーから安心しろ。破壊力は高いけど俺が持たねえから。」
ひらひらと手を動かしながら、片手はネクタイを緩める仕草が妙に似合っていて怖い。華奢な首と白い肌が丸見えになる。傷痕も多数あるが、女である事を見ている者は実感する。
「…白いなぁ。」
「受験生の敵程白くねえよ。」
透けるようなスクアーロの肌と遼の肌、人種が違うのだから当然だ。自嘲気味に笑う遼は、いずれ負ける覚悟で戦っている。不敗神話とは破られるものだ。
「…触っていいかぁ?」
「締めたら殴るぞ。」
頬から首、鎖骨と指先だけで触るスクアーロ。きめ細かく柔らかい上に温かい遼の肌。猛獣に触れているようなものだが、本人はクッキーを楽しんでいる。
「遼、熱でも出したかぁ?あっついぞぉ。」
「いや体温高めだから普通だ。」
色気の無い会話としている事が不釣り合いだ。ゆっくり名残惜しげに、遼から指を離すスクアーロ。片手が義手だから、両手で楽しめない。
「改造すっかなぁ。温度分かるように。」
「…何のメリットがあるんだ?弱酸性にでもすんのかよ。」
コーヒーお代わり、と控えていたヴァリアー隊員に頼む遼は馴染んでいるように見える。遼としては娯楽がとことん無いイタリア。
「こっち冷たいだろぉ?」
「あ、ホントだ。今まで全く気にしなかったな。」
差し出された義手に触って頷く遼。大概命と貞操を懸けて戦うので、気にする場合では無かったのだ。
「そういう所、俺は結構好きだぜぇ?」
「受験生の敵。何も考えずにそういうセリフ言うなよ。」
はた、と気がついて赤面するスクアーロ。やっぱり無自覚だったか、とコーヒーを飲む遼。自分には疎い割に、他人には聡い。
「天然でタラシって珍しくはねぇけどな。」
かく言う遼も夜の蝶に勘違いされがちなセリフを言っている。
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