文句あんのか | ナノ
読めても意味不
平和な田舎町的な俺の癒やしスポット、として遼に認識されていた並盛。夕方の喧騒が大好きで、よく食材の買い物に出ていたのだが関東最強にして、近距離ではリボーンすら歯が立たなかったとマフィア関係者から目を付けられ、散々戦い続けた結果自重せざるを得なかった。無関係な人を巻き込める程、遼は悪人になりきれない。
「…で。何で俺がルッス達と飛行機で飯食わなきゃならねえ上に時差ボケ覚悟でイタリアに突撃させられてんだ。五文字以内で答えてみろ。」
「ヒ・ミ・ツ。」
にっこりと笑うルッスに脱力を禁じ得ない遼。パスポートは確かにあるが、使う予定すら無かった。機内でルッス、ベル、スクアーロとコテコテのイタリア料理を食べている。
「…つーかさ、オリーブオイル使いすぎて気持ち悪くなりそうなんだけどイタリア人ってこんなもん毎日食ってんのか。」
「さぁ?ヴァリアーじゃいろんな国の礼儀作法覚える為に多種多様よ。遼ちゃんパスタは啜っちゃダメだからね。」
「遼下品〜。」
ちゅるん、とパスタを口に入れた遼にチェックが入るぐらい、平和すぎる時間。遼の口元をガン見しているスクアーロは空気扱いに近い。
「え、非公式なのに注意入るのかよ。スパゲティにも作法あんだな。」
基本のフレンチ、中華、和食は教わったがイタリアンまで叩き込まれるのかと遼は憂鬱になる。ご飯食べましょう、とルッスに誘われて日頃持ち歩く物しか持っていない状態、加えて空港で暴れる訳にもいかなかった遼は仕方なく搭乗したのだ。一応良心はある。
「遼、口元にバジリコ付いてるぞぉ!」
「るっせぇな受験生の敵。食い終わってから拭けばいいだろうが。」
「今、拭きましょうね。」
流石にこの密室で三人相手に戦える程遼も不死身ではないし、確実に飛行機が墜落するので従う。近距離のルッスとスクアーロ、中距離のベルでは分が悪い。
「今思ったんだけどイタリア語知らねえから通訳要るよな。」
「うしし、うるさいスクアーロが通訳やるって。」
「俺に任せろよぉ!」
「遼ちゃん、ゴメン。アタシ仕事あるのよ。」
ルッスとベルを恨めしげに見る遼。観光地巡りの計画を立てようとしていたが、砕かれた瞬間だった。
「暇なんだか忙しいんだか分かんねえなぁ…。」
もう無理、とデザートへ手を伸ばしジェラートで口直しをして、コーヒーを楽しんだ後時差ボケ対策に丸くなる遼だった。
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