文句あんのか | ナノ
寧ろかなり好き
昔ながらの玩具に慣れ親しんで育った遼は、はっきり言って現代っ子らしくないのだが祖父が嬉々として教えていたので、身にしみている。得意なのはベーゴマで改造するぐらいには凝っていた小学生だった。
「こーやって巻いて、投げるみたいに台に乗せる。んで弾き飛ばすか回転が止まるまで競争すんだ。」
ちびっ子達のヒーロー、関東最強佐々木遼。子供は嫌いではないし、ご近所付き合いもそれなりにしているので、怖がられながらも守護神のように誰からも慕われている。
「遼兄ちゃん!もっかいやって!」
「へいへい。上手くなったら改造教えてやる。」
「ベイブレードみたーい!」
小さい頃から男と遊んでは祖父から遊びを習い、とことん女らしさから遠ざかった育ち方をしていた。その頃からスカートよりズボンを好み、動きやすさを重視していた…と言えば聞こえがいいが、単にスカートは破けるから諦められた。木登りや缶蹴り、男の子が好きそうな遊びが好きだったのだ。
「遼兄ちゃん、こう巻くの?」
「ちょっと斜めってんな。ここはキレイに巻かないと長続きしないぜ。」
「遼兄ちゃん見て見て!乗ったよ!」
「おー上手いじゃん。初めてだよな。」
「へへ、おじいちゃんに教えてもらった!」
女の子には怖がられる一方でも、男の子には大人気の遼は罰ゲームで話し掛けるなど、凄まじい勇気を試される試練がある。少年達に見た目以外は気のいい兄ちゃんにしか見えない悲しい女子中学生。
「よーし、じゃあ帰りに肩車してやろっか。」
「ホント!?遼兄ちゃん、約束だからね!」
「かっちゃんズルい!遼兄ちゃん、俺もやって!」
「…悪い。今すぐ家に帰れ。あぶねぇから。」
ピクリと反応した少年達は遼の帰れ、には絶対に逆らわない約束をしている。すぐさま走り出した。
「ヒバキョン、別にちびっ子に変な事教えてねぇから殺気振りまくなよ。可哀想だろうが。」
「群れる奴は嫌いだよ。今度こそ咬み殺す!」
間合いを詰めようとした雲雀に対し、とっさに手に持っていた改造済ベーゴマを投げつける遼。すぅ、と雲雀は目を細めた。足にベーゴマが食い込んでいたからだ。
「佐々木…それが君の武器なのか?」
「え?いや、まぁ投げてみただけだ。意外に攻撃力あんだな。」
それは遼の馬鹿力だからなせる技なのだが、その後リボーンから大量のベーゴマを押しつけられ、武器として扱うようになった。無論雲雀は叩きのめされ、後始末に奔走する風紀委員達なのだった。
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