文句あんのか | ナノ
大人気ないは禁句


ルッスは蹴りの達人だ。であるからして人の家の扉を蹴破るなど造作もない事。ザンザスが遼をスカウトしたが拒否したのに業を煮やし、ルッスに連れて来るよう命令したのだ。職権乱用もいいところである。

「おっはよーん遼ちゃん、爽やかな朝ね!」

「朝っぱらから扉蹴破りやがって何が爽やかな朝だぁぁ!!こちとらさっき帰って寝る予定だったんだぞボケェェェ!!」

ベル御用達ナイフを顔面に向けて即投げつける遼だがあっさりかわされる。

「スジはいいのよねぇ、遼ちゃん乙女の顔を狙っちゃダメよ?」

「乙女と認定したくない変な連中が増えてイライラしてる上に命狙ってくるアホ連中を全員叩きのめすのに一晩かけたんだぞ眠らせろよ晩飯作るから。」

命を狙う裏の人間は全て闇に葬り、正直げんなりしている遼は最早立派な裏社会の住人だ。ちなみに乙女と認定したくないのはロンシャンの周りにいる人類に見えない彼女だ。

「あら、遼ちゃんの手料理なの?アタシタイ料理食べたいわ。」

「作るから眠らせろ頼むから。疲れてんだ。泣きたいぐらい疲れてんだ。」

「じゃあ待ってるわ。扉は直させるわね。」

「んー。じゃおやすみ。」

シーツを被ってもう何も聞きたくないと表現する遼を後目に、ルッスは勝手知ったる遼のコーヒー豆コレクションから、選び抜いたコーヒーを飲みながら手配や準備を着々と進めていた。野生動物級の勘を持つ遼は察知しながらも起きる気力すら無かったのだ。

「あー。業者がうるさくて殆ど熟睡出来なかった。つーかさ、ルッス。タイ料理ってトムヤムクンぐれぇしか作った事ねぇしレシピも材料もねぇ。」

「ヴァリアーナメちゃダメよぅ、遼ちゃん。材料はあるしレシピも持って来させたわ。」

寝癖の凄まじい頭を掻きながら、不機嫌丸出しの遼を恐れぬエリート暗殺者。殺意も無く女の首もへし折る2人だ。

「ならいっか。風呂入ってくるからコーヒー淹れといてくれ。」

「はぁい。ブラックが好きって通よね。」

「…誰に日本語習ったんだルッス…。」

シャワーを浴びてスッキリした遼は、血の臭いがするシーツなどを洗濯し、ルッスに料理を振る舞うのであった。その後ザンザスと遼は1対1の殺し合いを繰り広げ、互いに血塗れになりながら病院送りとなったのだった。遼は怪力とダーツの腕を応用し、ザンザスは大人気なく拳銃をぶっ放す地獄絵図。壁まで蹴り砕く遼がますます欲しくなるヴァリアーだった。

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