文句あんのか | ナノ
生活水準の差


授業をサボって屋上でのんびり寝ていた遼だが、獄寺の気配に目を開けた。カチリ、とライターで煙草に火を点ける獄寺に向けて転がったまま声をかける。

「大佐ぁー。ヤニ吸ったら身長って伸びねえもんなのか?」

「んだよ佐々木。そりゃ俺に対するあてつけか?シャマルよりでけーんだろうが。」

露骨に嫌そうな顔をして吐き捨てる獄寺だが、遼にダイナマイトが通用しなかった過去を捨てていない。

「いや切実な問題なんだけどな、これ以上でかくなると洋服探しが更にめんどくさくなっから。デザイン考える脳みそねぇし。」

「足ぶった切って十代目に捧げろ!十代目はなぁ、佐々木のバカでかさを疎んでいらっしゃるんだ!」

と言うか俺が!と言わんばかりに獄寺が声を張り上げた。女だとは思えなくとも事実なので受け入れているようだ。

「ゴメン疎んでって意味分かんねえ。布団なら知ってるけど。」

「布団って何だよ?」

くわえ煙草のまま、片眉を上げる獄寺。金持ち故の弊害と言うべきか、2人共そこまで庶民的な知識がないのだ。

「日本限定なのかは知らねえけど、布に綿とか詰めて寝床にすんだ。羽毛って高級品らしい。」

「は?羽毛が高級品?」

「いや、俺もよく知らないんだけど。キングサイズのベッドはちょっと値が張ったけどそこまで高いとは思わなかったし。」

「ベッドってサイズあんのか…確かに十代目のベッドは小さく思ったけどあれはてっきり部屋に合わせて注文したのだとばかり。」

知らない事もまだあるんだな、といいのか悪いのか遼のペースにハマっている獄寺。2人して解らないと首を傾げている。

「でかすぎんのも考え物だよなぁ。つーかさ、一本分けて。」

ガバッと腹筋だけで起き上がり、大きな手を出す遼に煙草押し付けてやろうか、と危険思考がよぎる獄寺だが一本だけ差し出した。

「一本だけだからな。負けた雪辱は晴らす。」

「雪辱?」

お前バカ!と罵りながらもライターまで渡している獄寺と遼は何だかんだで庶民的な知識の交換をしているのだった。

- 163 -


[*前] | [次#]
ページ:






メイン
トップへ