文句あんのか | ナノ
評判で判断は無理
決勝戦直前に、越前は記憶喪失になった。その際に行われた会話。
「部長、遼先輩呼んで殴り飛ばして貰ったら記憶戻りませんかね。」
「記憶が戻る前に気絶する。」
桃城の迷案に手塚は迷わず言い切った。数える程度でも、遼に気絶させられた経験からだ。
「いや、佐々木さんにやらせたら骨折して入院コースじゃないかな?」
「頭殴られたらあの世に送られそうだ…。」
不二も他人事、と言わんばかりに笑っているが…返り討ちに遭った人々を見ているだけに関わりたくない!と全力で主張している。大石も胃を押さえながら、空高く舞う越前を想像してしまった。燦然と輝く星になるのでは、と。
「おチビ座になりそうじゃない?」
「…英二。笑えないから止めてくれ。本当になりそうだから。」
遼が比嘉戦に来た時も、冷や汗ものだったのだ。目つきが悪い上に、男物で統一された妙に似合っている服装と上背。比嘉が手を出した場合、会場は地獄絵図となっていただろう。遼を女だと知っていても、そう見えないのだから。
「衝撃に衝撃を重ねていい結果になるンスか?」
海堂のいちいちごもっともな疑問。
「やってみる価値はある。いいデータになりそうだからな。」
「乾!越前の命が懸かる世界一危険な実験だ!」
「あの、皆さん。命が懸かるってどういう事なんですか?」
その記憶も無いのか!とお調子者達は越前に遼の怖さを語り始めた。
「佐々木ちゃんはね、俺達の入学式で先輩20人以上ボコボコにして笑ってたんだよ!?」
「加えて遼先輩は手塚部長に鍵を貰うまで施錠してあった屋上のドア毎回蹴破って飯食ってたんだ!いや確かに遼先輩の飯は美味いんだけどな。」
「ちなみに俺のオススメはデミグラスソースから作ってたフワフワオムライスね!あれは本気で美味しいから。」
「いや遼先輩の飯ならカツカレーッスよ!スパイスからこだわってましたし!カツもサクサクですし!」
「僕としてはエビチリとグリーンカレーかな。」
「…あの。怖いのか料理上手なのか解りません。」
「越前、佐々木は料理上手でもあり喧嘩では関東最強と謳われる女子だ。」
「え?女の人に殴られて命に関わるんですか…?」
乾と手塚が情報を言っている間、遼の手料理で一番美味しいのは何か、と熱く語り合うレギュラーの姿があった。引退したら押し掛けよう、と一部は企んでいたり弁当を分けてもらおうと考えていたりしていた。
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