理系バカと呼ばれ | ナノ
理系の勉強会



見ただけで相手の身長、体重を推察出来る特技。そう簡単な事ではないが、とりあえず聞くだけ聞いてみよう、と柳と乾が氷帝に連絡してファミレスに連れて行った。

「すいませんコーヒーを2つとアイスミルクを。」

店員すら、顔が強張る三人組だ。顔面蒼白の小柄な氷帝女子生徒香奈に、180センチもの長身を持つ柳と乾。
香奈の逃亡防止に柳が隣に座っている事すら、目立ちすぎる。

「で。信濃。身長体重の推測方法はどうやって覚えた?」

「体重は性別によるよ〜?男性にあって女性に無い、逆もあるし〜個体差があるからね〜。」

「なら身長は?」

ノートに書きながら、矢継ぎ早に質問を浴びせる2人だが、香奈はぼんやりした口調で答える。
質問が具体的であればあるほど、返事も明確なのである。

「確か最初は機材の高さから〜。日本には日本の、アメリカにはアメリカの基準となる値が〜存在するでしょ〜?」

「教授。もしかしたら教室のドアで練習出来るかもしれない。」

「そうだな、普通教室のドアは全て同じ高さだ。」

更に鍛えれば、自分の身長から推測出来るようになる事を香奈は実証している。伸びなければ、相対的に見れる恐ろしい話だが。
2人はコーヒーを、香奈は問答無用でアイスミルクを飲まされた。

「あ、でも〜男性でありながら乳房がある事例もあったよ〜。」

「オリンピックのドーピング事件か?」

キラリ、と乾のメガネが光った。理系に関しては生き字引のようにすらすらと言う香奈は、知識があれば理解出来る。

「ホルモン剤投与だけじゃなくて〜先天的な遺伝子異常による〜アンドロジーナス。」

「両性具有、か。信濃、悪いが俺はそこまで詳しくはないから今はいい。」

「俺もだ。見た事も無いし関わる確率は限り無く0に近い。」

香奈を真人間にする会はどうした。と言いたくなる状況だが、金色ほど破壊的ではない。
放課後に、ちょっとファミレスで話しているだけなのだ。中身はともかく。

「で、信濃。例の波動球マシンの改良は進んでいるのか?」

「うん〜。時速418キロまで上げて〜打ち切りにしたよ〜。」

そんなボールを誰が打ち返せるか。怒鳴りこそしないが幼なじみの2人は同時に香奈へツッコミ、結局物理の話ばかりしていた。
百八式は見ていないし、暫定威力第一位の遠山の技は香奈に見せてはならない。と決まっているのだ。

「人類の限界に挑戦、として跡部が置いているらしいが挑戦者はいるのか?」

「休みの度に、石田兄弟とうちの河村が行っているそうだ。」

バッティングマシンに近いが、挑戦する為の条件がとんでもなく厳しい。

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