理系バカと呼ばれ | ナノ
ハブとマングースと私




決勝戦終了後、幸村と越前に協力を求めたが断固として拒否された香奈。幸村は特に熱心だったから、散々叩かれて説教までされていたのだが。
引退となり、これ幸いとビデオをコピーして、見ては研究三昧に向かう香奈を見逃す筈はない。放置したが最後、引きこもりに爆走するからだ。

「香奈、沖縄に行くぞ。」

「本島ならホンハブが居るよね〜。血清5本と〜飼育用マウスと〜マングースが天敵と成りうるか検証しなきゃ」

綺麗に忍足が叩いた。バカンスとはちっとも考えないあまりの研究熱心さに泣きたくなる者もいる。
青学3年と、氷帝3年が引きずって、沖縄へ跡部のチャーター機で向かった。準備期間もロクに与えなかったのに完全装備がまた切なくなってしまう。

「油断せずに行こう。」

「油断したら終わるよ。香奈は本気でハブ捕まえるつもりだから。」

荷物をホテルに置き、パソコン持ち込み禁止としていたが甘かったと氷帝メンバーはうなだれた。
大量の紙を持ち込んだからだ。論文だけではなく現在研究中のデータを丸ごと。しかし、軽装備で森へ駆け出す香奈を捕まえる事は容易い事が救いだった。

「ほら香奈、海行こうぜ!綺麗だから!」

「いやーっ!ハブ捕まえるのー!!」

髪の毛を掴まれ、じたばたと暴れる姿はまるで幼い子供のようだが、騙されないのが香奈を真人間にする会メンバー。

「ハブなんて捕まえさせるか!ろくでもない事になるだろうが!」

「おや?手塚クン?そんな小さな子を…堕ちたものですね。」

ハンッ!と笑い声まで聞こえそうな木手に、顔を見合わせるメンバー。しかし、宍戸が思い出したように呟いた。

「そういや、これだけ見たら間違いなく俺ら犯罪者呼ばわりされるな。木手は香奈知らねえだろ。」

「あ、そうだな。信濃さん一見小学生だし。」

「はーなーしーてー!アナフィラキシーショックの可能性は無いんだからー!血清もあるからー!」

顔面蒼白の、リアル貞子にしか見えない香奈から発せられる言葉に木手は首を傾げてしまった。解るはずも無い話だが、本土の小学生が血清などと言うなんて夢にも思わないのだ。

「木手、信濃は正真正銘氷帝のマネージャーで俺達と同い年だ。」

「第一こんな小学生いてたまるか。香奈、行くぞ。犯罪にはならねぇからな。木手。香奈の発明、一見の価値はあるぜ。」

嘘ではないのだが、二度と見たくないと言う声がある事実を伏せたまま、一行は海へと向かった。甲高い声で嫌がる香奈を放置するなど、愚の骨頂だからだ。
メイドに頼み、香奈は髪の毛を結われ水着を着る事になる。

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