理系バカと呼ばれ | ナノ
種類がありすぎ




リアル貞子とかなり有り難くない異名を与えられている香奈。決勝も忍足のジャージを着せられ、さり気なく写メを撮られている。

「あ。景吾君、月経始まったみ」

「男の前で言うな!さっさと行け!」

跡部に怒鳴りつけられ、殺人ファイルと鞄を片手にトイレへと向かう。
氷帝メンバーは額を押さえたり、頭を抱えたりと忙しい。医学用語で言われただけ、まだ救いはある。

「うわぁ、姉ちゃんごっつ髪長いんやな!」

トイレから出た香奈に、遠山が目を輝かせて見つめていた。香奈はきょとんとして見返している。

「切るの面倒くさいからね〜。」

「こっちゃ来て姉ちゃん!白石に見せたる!」

完全に見せ物扱いなのだが香奈がそんな事を気にする筈がない。そして、遠山は嬉々として言ってはいけない事を言ってしまった。

「白石の手な、毒手言うて焼けた砂と毒を交互に突き続けて2週間位苦しみ続けると手に毒がしみてその手に触れし者は死に至るってマンガにあってん!」

「面白〜い!」

傍から見ていると、何とも言えない組み合わせだが2人は笑顔。遠山に腕を引かれながら、香奈は新たな研究対象に心躍らせた。
マンガなど、香奈は生まれてこの方読んだ事も無ければ存在すら知らない。つまり、手に触れし者は死に至ると言うフレーズだけが、頭に残っているのだ。
かなり危ない展開になっている事は、遠山が知る筈も無い。

「あー居った!白石ー!」

香奈の腕から手を離し、遠山は白石へと駆け寄るが香奈は鞄からシャーレとピンセットを取り出した。

「おん、早かったな金ちゃん。そん子は?」

「毒、採取させて下さい。毒理学の研究にご協力をお願いします。」

目を輝かせて、白石を見上げる香奈。氷帝ジャージを着ていて、一目瞭然だが白石は固まった。
ただの腕だ、とこの場で言えば、遠山への効果が消える。だが採取と言われ、結局ただの人間細胞と言われてしまえば同じ事。
絶体絶命。

「じ、自分…氷帝やろ?帰らんとあかんやん。」

「あ、はい。遅くなりました氷帝三年、信濃香奈です。」

謙也から聞かされた、ノーベル賞を取れる女子中学生と名前も学校も一致。更に見た目も間違いようが無いから逃げにくい。

「人体に影響すると言うことは本人の体内に抗体が出来上がり」

「信濃香奈さんやぁぁぁ!!会いたかったです!」

香奈が独り言を呟いた瞬間に、金色が香奈を思い切り抱き締めた。下心が一切無い上に、感動で金色は涙ぐんでいる。

「小春ぅぅ!!浮気かー!?」

大混乱に陥った四天宝寺メンバーであった。

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