理系バカと呼ばれ | ナノ
うちの子自慢
忍足侑士と謙也は、長年に渡り張り合ってきた従兄弟である。そんな2人が香奈と金色について張り合いだすのは、目に見えていた。どちらも理系ではぶっちぎりの生徒だからだ。
「そーいや侑士、お前んとこの信濃香奈やったか?そんなんウチの浪速のニュートンの敵やないっちゅーねん!瞬時に数字弾き出すIQ200やぞ!?」
「そんなん甘いわウチの香奈ちゃんは外科医やぞ外科医!小学生で外科医やってんねんで日本代表の科学者や!ノーベル賞取れるんやぞ!?」
「ノーベル賞がなんぼや!金色やったら取れるわそんなもん!」
「アホか!香奈ちゃんはアメリカ行ったり来たりのドイツ語英語ペラペラインターナショナルリアル貞子やぞ!?お前なんかビビって近づけんわ!」
「こっちはもっとすごいっちゅーねん!人が道開けんねんで!」
悪口なのか、褒めているのか。とても判断に苦しむ口論である。
越前と遠山では賛美が多かったが、この2人の人となりを考えれば言いたくもなる。
実物の香奈は、ホラー嫌いでなくとも怖がられる。金色はキャラクターに問題がある。
「ハッ!甘いで謙也!香奈ちゃんは研究の度に政府が動くビッグな女の子や!VIP待遇当たり前や!」
「何やっちゅーねん金色は笑いでん生徒会でん活躍中や!絶対目ェ付けられとるわ!」
「そんなちっこい話やないわ!今はインターナショナルグローバル化や!香奈ちゃんの話解るようになってから出直せや!」
侑士すら理解を放棄した基礎物理学講座。こういった時、人は自分を棚に上げる事がある。
「侑士君〜景吾君が呼んでるよ〜?」
「謙也クーン、クラリンが呼んでるわよ〜?」
噂をすれば何とやら。話題の2人がやって来た。
ダブル忍足は、互いに意味深な笑みを浮かべる。
「今行くわ香奈ちゃん。」
「なんや白石かぁ?」
香奈は相変わらず、ダボダボジャージを着用しているが長すぎる髪に青白い肌は謙也も思わず驚いた。悟られたくない一心で堪えたのだ。
髷のカツラを使用している金色に、侑士も一瞬反応しかけていた。とことん負けず嫌いなのだ。
「うん〜。」
「早よせんか!小春待たせんなや!」
フラフラと手招きする香奈は、正直怖い。あの世においでと言われている疑似体験可能だ。
金色は、一氏がセットなので明らかにそちらだと思われる。
「まぁ、直接香奈ちゃんとぶつけたんが早い話やな。吠え面かきなや?」
「こっちのセリフや。まんま返したる。」
意地っ張り対決の幕開けだが、幕引きは意外と早いのだった。
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