理系バカと呼ばれ | ナノ
夏の風物詩




手塚復活の後。
六角と合宿を行った青学メンバーだったが会長跡部と副会長幸村の策略に乗る事になった。山篭もりにはまだ、数日かかるのだ。

「ほら、香奈先輩行くッスよ。」

髪の毛を引っ張られ、香奈は千葉へと向かわされた。白い厚手のワンピースに、ゆらゆらと揺れる長い髪の毛はやはりリアル貞子。長旅で顔色も更に悪い。
海堂はあくまで直視しないようだ。

「あれ、越前君!ど、どうしたのその子…?」

越前と身長が変わらない香奈を見て、葵は少し引いたが。見上げられると可愛らしく見えなくもない。

「だぁれ〜?」

「…貞子が貞治にさらわれた…プッ。」

黒羽の華麗な蹴りが、天根を襲った。その様子すら、香奈はぼんやりと眺めて計算している。

「葵。全国の女の子にモテモテ、って言ってたけど。信濃さんにモテたい?」

「それは…えっと。」

言葉を思わず濁した葵。女の子と言えど、十人十色と言う現実だ。貞子に好きと言われて、喜べる猛者は居ないだろう。
取り柄は大きな胸しか思い付かない。

「気持ちは解らなくもないけどね〜。香奈ちゃん、身長体重当ててみて?」

「はぁい。誤差はあるけど〜左から〜」

見ただけで解ってしまう、香奈の特技。
当然、唖然とする一同。何者だこの貞子と、思いたくもなる。

「…周助。誰?その子。」

「氷帝の名物マネージャー理系バカの信濃香奈さんだよ。ノーベル賞受賞資格持ってて、アメリカでも外科医として有名。何でも作るからね。真田の音声目覚ましとか、湿布とか冷却スプレーとか。」

佐伯の素朴な質問に、サラリと答える不二。ますます何者か解らなくなる。
ノーベル賞など、テレビの世界でしかない。

「何でもは無理だよ〜?面白い人、いるの〜?」

「そういう話じゃないッスから。」

海堂の容赦ない一撃。普通ならば、痛い筈だが香奈は痛みに鈍い。
頭がかくん、と落ちまた顔を上げた。果てしなく、怖い。

「それで、香奈先輩謹製体力テストを受けてみようって話なんだよ。やる?」

全貌を不明にしたまま、桃城は意地悪く提案するが部長様が黙っていない。

「桃城、全国前に瀕死にさせるな。」

「海水浴可能なら〜10項目は増えるよ〜?」

青学メンバーが、黙り込んでしまった。いつものように、予想の斜め上を行く香奈。

「信濃。聞かせてくれないか?」

「深呼吸をせずに、何秒水に入っていられるかと〜水深を調べてどこまで潜れるかと〜」

海堂と不二が同時にひっぱたいた。その後、香奈が如何に無精かと理系バカさ加減について熱く語り、六角は瀕死になりながら体力テストをした後。
参加表明する事となる。

貞子より怖い。と印象付けたのだった。

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