理系バカと呼ばれ | ナノ
楽しみ方




賑やかな昼食が終わり、切原は香奈を睨んで今まで言うに言えなかった事を一気にまくし立てた。

「研究研究って、もうちょっと遊ぶとか楽しい事探せよ!」

「遊びなら、機械いじり楽しいよ〜?」

「引きこもり寸前じゃねーか!旅行とか行かねえのかよ金持ち何だろ!?」

「行って、何するの〜?」

小学生レベルの言い合いにしか見えない。双方大真面目だと言うのが更に悲しさすら覚える。

「海外で評価されてんだろお前!バカだろ、お前バカだろ!?」

「赤也、香奈は元から理系バカだよ。それに香奈をバカバカ言うなら合宿でやられたらしい物理学講座解ってから言おうか。」

完全に他人事で終わらせている幸村。寧ろ被害に遭わなかっただけ、幸運だった感が否めない。
とりあえず凄まじくレベルが低い会話だ。香奈は動けないので大人しくしているが、一部は現実逃避している。

「図解までされとったけん解らんぜよ。英語になると香奈は早口じゃし。」

「基礎の概念はともかく、初心者向けの講座ではあったがな。最初は。」

柳は香奈専用ノートを作り上げ、情報が入る度に書き記している。予想外に成長しないのが救いになるだろう。
最早、最終形態理系バカに近い。

「デバなんとかだのアインシュタインだのより優先すべき事あんだろ!?」

「大質量の発生を伴う無差別殺戮兵器の理論は完成したよ〜?」

「なんでそっちに話が行くんだ危険が危ないモン作るな!」

「日本語間違ってる気がするよ〜?」

実に身も蓋もない一言だが切原は国語が得意だ。英語の方が達者な香奈より、日本語の語彙力は上である。専門用語ばかり、香奈は覚えるからだ。

「そういう問題じゃねぇ!人の目を抉りたいとか何考えてんだ!」

「面白そうだから〜実験して解剖したかったの〜。景吾君やらせてくれないけど〜価値はあるよ〜?」

「非人道的すぎんだよ!」

「非人道的?何語?」

「日本語だ理系バカ!日本語勉強しろー!」

ぽややん、と尋ねる香奈に切原は血圧が上昇しかねない程、頭に血が上る。

「赤也も英語、香奈に習ったらどうじゃ?」

自分は死んでも嫌だけど、と内心呟く仁王。そもそも香奈に教えを乞うなら、それなりの知識が必須になるのだ。

「赤也!さっきから黙っとれば科学者としては世界に通用する目上の信濃にバカバカと礼儀がなっとらん!信濃もそこに直れ!叩き直してくれるわ!」

「金属じゃないよ〜?」

残りの昼休み、切原と香奈は延々と真田の説教を正座で受けさせられた。その後は、氷帝メンバーが香奈を引き取りに来た。

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