理系バカと呼ばれ | ナノ
科学者の休日




休日、部活も無ければ香奈は思い切り引きこもって研究三昧と決め込む。
そして科学者としては、高い評価を得ているものだから来客などそうそう無い。香奈を真人間にする会、メンバー以外は。

「…あれ〜?気のせいだったかな〜?」

つい先程、不動峰メンバーが惨状を見るべく訪れて神尾が倒れたのだ。
流石に大の男が倒れて無事に済むスペースは、香奈の部屋に存在しない。異常な程軽い体だから、香奈は事なきを得ていたのだ。
セキュリティ解除の仕方は跡部が知っているので、悪用しないと誓ったメンバーのみ、使用可能である。

「ま、いっか。水銀を媒介にどこまで耐久力を持たせるか〜」

化学式を呟きながら、材料を引っ張り出していたのだが。無言で入ってきた日吉から、思い切り髪を引っ張られた。
大きさの割には軽い、アルミの塊が棚から落下する。

「香奈先輩。今日は不動峰の連中が来ると伝えましたよね?どうせ覚えちゃいないでしょうけど、一番自宅の近い忍足さんが外出で呼びつけられる俺の立場にもなって頂けますか?香奈先輩がマネージャーになって何回熱中症で倒れたと思っているんです?8回ですよ?研究どうの論文どうのじゃなく体験から学習して下さい。しかもまた最近適当な理由でお風呂をサボって徹夜記録14回、どこでカロリー消費をしているかなんて、知りたくもありませんが以前のように頬がこけてますよね。とりあえず、風呂に入って下さい。今すぐに!拒否権ありませんから。すいません、お願いします。」

「かしこまりました。」

そしてまた、メイドに風呂に長々と入れられ足の先まで綺麗に洗われた香奈。当然ながら、放り込んだのは日吉だがまだまだ言いたい事は山積みだ。
ただし、髪の毛が異常に長い事と洗い方が凄まじく適当なので、香奈の風呂は時間がやたらとかかる。そんな時は、読書や無理矢理置かせている菓子類などで、時間を潰さなければならない。
香奈の世話は、何かと面倒だが放置してはならないのだ。

「暑い〜。」

乾かされた髪の毛をフワフワと揺らしながら、香奈はまた棚に向かおうとした。本当に研究第一、興味が無ければ見向きもしない。

「香奈先輩。話はまだ終わっていませんから。解剖だの実験だの、他人より自分を使えばいいでしょう。寧ろそうして下さい。」

くどくどネチネチと、休日を日吉や真田に潰される日は、よくある事になりつつあった。それもこれも、火に油を注ぐような香奈のツッコミが悪化させているのだが…本人はよく解っていない。

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