理系バカと呼ばれ | ナノ
ある意味SOS




突拍子もない爆弾発言で、かなり説教を受けている香奈なのだが。やはり疑問は捨て置けない。
男は皆ケダモノだ、と言われてさっぱり解らなかったのだ。

「ね〜。男はケダモノって聞いたんだけど〜どういう意味?」

優雅な昼休みの、食後のお茶を楽しんでいた氷帝メンバーは、思い切り吹いた。宍戸は現在、レギュラー落ちで関わりを絶っている為不在だ。
辞書をひいても、獣と書かれるので意味合いを理解出来ない。

「…香奈。どこで聞いたんだそれ。」

昼休み、暑さと香奈の爆弾発言のせいでタオルを手放せなくなった一同。口を拭きながら、向日がこめかみを震わせている。

「大学部で聞いた〜。おそわれるって〜何を教えられるの〜?」

漢字が違う上に、語彙力は素晴らしく偏っている。日本語的な概念が、全く無いのだ。
芸術、文学にこれでもかと疎い香奈だからあっさり聞ける。教師泣かせの理系の難解な解答や、どうしたらこうなるのか?と聞きたくなる国語系。
どう教えたものか、と頭を抱えたくなる。どう考えても犯罪の話になるのは目に見えているし、香奈が躊躇い無く言ってしまう。さながら、幼い子供にコウノトリの話をする年長者の気分になる。

「大学部でって…何をしに行ったの?」

大学部にすら、香奈の名前と容貌は知れ渡っている。奇妙な中等部の生徒、だけでは済まない。理系の教授達からは、垂涎の知識量を有するのだから。

「ホストが壊れて直して欲しいって。サーバートラブル」

「滝先輩、香奈先輩が理系バカだと解っていて聞いたんですか。」

日吉必携が唸り、香奈はお菓子を取り落とした。話を逸らそうとした、滝の意図を汲み取るには少しばかり遅れたが、最悪の事態は回避出来た。

「香奈ちゃんホント機械強いから羨まC〜。」

「慈郎君、よくわかんないそれ〜。」

香奈の髪をくいくいと引っ張りながら芥川も、言いにくい事から逃げようとしている。
香奈と芥川だと、じゃれあっているような微笑ましい光景だ。

「何でも作れそうな気はしますけどね。」

「何でもは無理〜。まだ光速に耐える金属も作れてないのに〜タイムマシンいきなりは無理〜。」

鳳の意見は、香奈を知る大概の中学生が考える。物理学上、無理なものは無理だし日本に居る限り中学生でしかないのだが。
不可能を可能にする、と言う訳ではない。可能性があるなら引き上げるだけだ。

「…忍足さん、妙な事言わないで下さいね。」

日吉に睨まれ、忍足は全力で首を振った。普通、を教えなければならないのだから。

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