理系バカと呼ばれ | ナノ
言葉に注意




宍戸にとって、屈辱の都大会終了後。
巻き込んでやれと跡部が言い出し、氷帝と青学混合メンバーで不動峰を訪れた。

「ね〜、早く研究に戻りたいよ〜。」

「もしかしたら対象になるんが居るかんしれんで?黙っとき。」

ここ最近、また無精が炸裂して寝不足の香奈。都大会には、行く必要が無いと榊から言われていたのでエンジョイしたのだ。
白いワンピースに、揺れる長い髪と青白い肌はやっぱり貞子だ!と知っている誰もが納得していた。

「…手塚?どうした?」

橘が気付き、集まり出す不動峰レギュラー。明らかに浮いている香奈を見て、絶句する者もいる。

「急にすまない。コレ…いや、信濃に一般的な事を叩き込むのに協力してくれないだろうか。氷帝のマネージャーだが、人間性がゼロだ。」

最早手塚にすら、コレ呼ばわりされている。
天下の科学者と言えど、価値を知らなければこんな扱いだ。香奈はちっとも気にしていないが。

「人間性がゼロ?確かに見た目メチャクチャ不気味だけど。」

「まぁ、これ聞いてみ。香奈ちゃん、こいつらの身長体重教えてくれん?」

右から、とすらすら言っていく香奈に、不動峰レギュラーは固まった。多少体重には誤差があるが、立派な特技だ。きちんと誤差があると言っている辺り、バカ正直でもある。

「…何者だ?」

橘が絞り出すような声で尋ねれば、乾が聞き出した事をシンプルに説明した。ちなみに、香奈は口を押さえられ発言が出来ない。

「クラシカルの制作者でノーベル物理学賞の受賞資格持ってる中学生なんているかよ言うならもうちょっとマシな嘘にしろよ。物理得意ならまだしも。」

嘘だったらこんなに苦労してない。その場にいた、香奈を真人間にする会メンバーは内心伊武のボヤキに反論していた。

「理系バカだからね、香奈先輩。」

「物理得意なの〜?この間発表された〜オックスフォードの〜ゲインの論文読んだ〜?あれは新しいし面白いアイディ」

忍足がいつものようにひっぱたいた。
氷帝ではほぼ毎日、叩いて説教と慣例化しつつある。越前は、へし折られたプライドの補修のように貶している。

「オックスフォード?何だそれ。」

「イギリスの一流大学、だな。英語は話す、理系なら突出しているが…。」

首を傾げた神尾。中学生にはまだまだ無縁の、大学となると世界まで視野は広がらない。
そこを皮切りに、香奈の日頃行っている無精や、非人道的な発言の数々が暴露された。至って、本人が真面目で悪意の欠片も無い事が余計悪い。

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