理系バカと呼ばれ | ナノ
基準がアレ



爆発的に売れているソフトの制作者でもある香奈は、日々研究などの科学に時間を費やしている。要は、生身で他人と関わらない時間が圧倒的なのだ。
そんな理由もあって、会員達は部活を無理矢理サボらせて引きずり回す。

「香奈、今日は僕の弟を紹介するよ。」

「面白い〜?」

香奈の言う面白い、は研究材料として興味深いか否かと言う、非常に人格を無視した言動だ。
不二、菊丸と大石が連れ回している。

「それはどうかな。」

にっこりと笑う不二は、観月と香奈を会わせてプライドを粉砕させたい私怨がある。データテニスを得意とする者は、皆一概に香奈の反射的な計算能力に膝をついたのだ。

「赤澤辺り、叫びそうだけどね〜。香奈ちゃん見た目怖いから。」

「英二、信濃さんに失礼だろう。否定はしないけど。あ、見えてきた。」

菊丸に手を引かれ、香奈はゆっくりとコートに向かった。
奇妙な組み合わせに、引退したルドルフ一行は驚きを隠せない。

「…兄貴?なんでいんだ?何か姉貴から言われたのか?」

多少後ろめたい事があるのだろう、裕太は明らかに焦っていた。不二は苦笑して首を振る。

「違うよ、裕太。香奈に教えたいだけだから。」

「あねき、ってなぁに?」

俗語など、知る由もない。香奈の世界は英語が基本、兄や弟と言う概念は英語圏ではあまり意味が無いものだ。
兄弟、で済んでしまうのだから。

「姉、お姉さん。ホント香奈ちゃんそーゆーの知らないよね。クラシカルで超有名なのに。」

「練習の邪魔は頂けませんね、不二君。そちらの不気味な女性は?」

観月が営業スマイルで近付いたが、それが狙いでもあった。

「観月、彼女は信濃香奈さん。クラシカルの制作者で有名になった子だ。」

「ついでにノーベル物理学賞の受賞資格も持ってる、そこだけなら天才。」

観月は思い切り、動揺していた。裕太はとりあえず何かすごい人?レベル。

「クラシカルの制作者!?あのバカみたいに値段の高いパソコンの!?」

「OSだから〜パソコンじゃないよ〜?パソコンは作ればいいし〜知識」

不二に頭を叩かれていた。観月は根掘り葉掘り、クラシカルやノートパソコンについて聞いたが。香奈の基準はプロフェッショナル達のそれだ。
処理速度がどうのと説明されたところで、全く解らない。現在使用しているパソコンにダメ出しされ、観月は思い切り落ち込んだ。

「…何語?」

「裕太、香奈に科学の話をさせるとこうなるよ。それと僕の名前すら覚える気が無いから、会があるんだよね。」

ルドルフも、体力テストの餌食になって参加する事になる。

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