理系バカと呼ばれ | ナノ
白いワンピース着せる?




レギュラーは勿論、錚々たるメンバーに注目するが。鳳と手を繋がれたままの、映画から出て来たようなホラーに自然と目が向いていた。

「…氷帝の制服着た貞子って感じだな…。」

「桃先輩、貞子って誰ッスか?」

アメリカ育ちの越前は、香奈の名前を知っているかもしれないが、貞子は知らないようだ。
とりあえず、不気味としか思えない。

「よぅ手塚。世にも珍しく希有な才能を持つ、ウチのマネージャーだ。香奈、英語で自己紹介してやれ。細かくな。」

「はぁい。」

鳳に背を押され、香奈は英語をペラペラと話し出していた。見た目は置いておくとして、ネイティヴスピーカーすら集中しなければ聞き取れない早口。
乾は有名な科学者である可能性が高い事に驚き、越前は解らない言葉があった事に同じリアクション。

「…大石、なんて言ってたの?」

「信濃香奈さん、氷帝の3年。現在跡部の何かが重要…って事ぐらいしか解らなかった。」

学年首席と言えども、中学生なのだ。語彙力に乏しくて当然である。
香奈は専門用語を躊躇なく使う。それが香奈の、当たり前に他ならないからだ。

「証拠としては、信濃が発売されたクラシカルの制作者だと言うことだ。」

「そんな名前なんだ〜。」

バグや不備を訂正し、新世代と謳い文句がついているソフト。
業界では香奈の作品だと有名だが、ここにいるのは全員詳しくない中学生だ。おかしいと思っても、仕方ない。
柳は、実物を見たから言えるのだ。

「妙じゃねぇか?自分が作ったのに名前を知らないって。」

海堂の発言に、青学メンバーは同意を示す。中学生にそんな事が出来る筈がないと、至極当然の反応だ。

「それはそうだね。香奈、解らなくていいから、改造の仕方とか説明して?」

「私が作ったのは〜マックにも使えるけど〜16進数で作ってるから〜」

「ゴメン。何を言っていいのか解らないけどとりあえずゴメン。」

幸村に促され、説明を始めたが直ぐに河村から音を上げられた。難解極まりない優しくない説明、嫌と言う程メンバーは知っている。理系限定なだけ、多少救われてはいるが。

「後香奈先輩、見ただけで身長体重当てるンスよ。技とか改良させますし。」

させる、と言うのは些か誤解を招くが、こうした方が面白そうだと提案はする。実現可能かどうかはともかく。無邪気であるが故に、あっさり無理難題を突きつけるのだ。
ならやってみろとなり、青学メンバーは顔を強張らせた。手塚は変わらないが。

「ねぇ髪長女。何で名前聞かないの?」

「覚えなきゃいけないの〜?」

幸村が音高く、香奈をひっぱたいた。

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