理系バカと呼ばれ | ナノ
身長差を考えると




車に揺られ、ただでさえ悪い顔色が更に悪くなっていた香奈。乗り物には散々乗っているのだが、どうにもインドア体質故か合わないらしい。
その香奈と手を繋ぎ、案内していく鳳。
テニスコートに到着する以前の問題だが、目立つ。跡部達は当然、異彩を放つ香奈が不気味過ぎるのだ。

「証明終了〜あ〜長かった〜。」

「香奈先輩が長かったって…どの位ですか?」

現実に帰ってきた香奈に、鳳は素朴な疑問を放った。聞いてもロクな事にならないのだが。

「ノート5冊ぐらい〜?」

そんなもん数十分であっさり証明ってアンタ。と呆れながら、聞かなかった事にしたい一行。
詳しく聞くと不幸になると解っている。揺らめかせていた頭の動きが止まり、少しは生々しいホラーから遠ざかった。
風にも揺れる髪は、普通に善良な青学の生徒達から怯えられている。豪華絢爛であり、威圧感のシャレにならないメンバーに近付ける生徒は居ない。
一部の女子生徒は、黄色い声を上げてはいる。

「香奈、お前さんの体力テストを受けさせたい連中が居るんじゃ。やってくれんか?」

「いいよ〜。統計も取りたいし〜面白い素材居たら嬉しいな〜。」

にっこりと笑う香奈に悪意は無いが、心で合掌したい体験者達。
理系だけは世界クラスの脳みそから出てくる発想は、次から次にメンバーを不幸に陥れ続けているのだ。

「それにしてもさ、髪の毛邪魔になんねえの?」

ジャッカルがかねてからの疑問。寧ろ全員が口を揃えて聞きたい事だ。

「頭髪は気にした事無いな〜。焦げたりするけど痛くないし〜。」

それは立派に邪魔になっているのではないか?と思いたくなるが、香奈は髪を切る時間すら惜しむ。頭を洗う時は、頭皮だけだったのだから。
メイドが2人も辞めただけある。3人目は、香奈の部屋に出入りさせ、耐性を付けさせた跡部。そうでもしなければ、また徹夜を繰り返し風呂をサボる。

「焦げたりするって何してんですか。」

「溶接とか〜高温発生させる機械作ってた〜。」

ジト目で日吉に見下ろされる香奈だが、さらりと答えてしまう。
機械作りやいじる事は、香奈なりの気分転換なのだ。行き詰まった時など、ひたすら機械をいじり回し打開策を練る。…素晴らしく根暗に見える。

「香奈ちゃん、あいつらが青学んテニス部やで。」

「…知り合い〜?」

首を傾げた香奈の頭を、忍足と日吉と仁王と幸村が盛大にひっぱたいた。現状を把握しろ!とネチネチ説教をしながらコート入り口に向かう。

「氷帝と立海…!?」

どんな組み合わせだ、と思っても仕方ない。

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