理系バカと呼ばれ | ナノ
他にも聞いてみる
ほぼ同時刻に、昼食を取る立海メンバー。花がないにも程があるが、氷帝は彩りと呼べる存在ではない。
そんな彼らものんびり食事中だった。おもむろに、仁王の携帯が鳴って忍足と会話をいくつか交わす。
スピーカーをオンにして、先程のとんでもないセリフが屋上に炸裂した。
「ガハゴホゲッ!」
氷帝同様、咽せたり吹いたりするメンバー。仁王は薄々感知していたから、まだダメージは軽い。
心の準備は、香奈を相手にするなら必要だ。
「…忍足、お前さん香奈に何を…?」
「素や。なぁ香奈ちゃん。さっきも同じ事言うたもんな〜。」
「な〜。」
スピーカーはオンのままなので、香奈や忍足の声も筒抜けである。
年頃の娘らしからぬ発言を同年代の男にぶつける、とことん理系に特化した脳みそ。食事中だと言うのが、なおさら怒りを煽る。
「何考えてんだ理系バカ!理論がどうとか以前に常識勉強しろー!!」
切原の叫びに、心から同意したい3年レギュラー。しかし、アレでも切原よりは年上だ。
真田の制裁が降りかかる。
「たわけが!信濃をどうにかする事が目的であろう!年長者を敬わん赤也に説得力なぞ無いわ!」
その年長者が敬っているのが、科学者である香奈なのだが。既存の理論から新しい発想を生みだし、あれこれ手を出している。
「仁王、電話貸して?」
ショックから復活した幸村が、にっこり笑って忍足から電話を奪った跡部と会話を始める。幸村は一度叩き落とされた事もあり、多少耐性があるのだ。
「跡部、今日は部活あるのかな?」
「いや、オフだ。幸村達はどうだ?」
明らかに、何かを巻き込む算段。香奈は、日吉と滝に説教をされている。
「俺達はミーティングなんだけどね。青学の手塚に会わせてみたいんだ。連絡はこっちがするから。」
「なら車を用意させておくから、ちゃっちゃと終わらせてこっち来い。幸村もやるか?体力テスト。」
「絶対、イヤ。助けてもらって何だけど、これは譲らないから。」
素晴らしく、力を込めた拒否。受けたレギュラーがさぞかし、熱く語ったのだろう。
柳はテスト内容を聞き出していた。呼吸に忙しくなって、途中から書く暇すら無かったからだ。
香奈に悪気が無い、無邪気だが容赦ない体力テスト。体力に定評のあるメンバーさえ、酸欠で頭痛を覚える代物なのだ。
「ハッ、テメェもそこまでって事だな。」
「嫌だなぁ、跡部みたいに無様な姿晒したくないだけだよ。」
イヤミ合戦になりかけたが本来の目的は、一致しているので背に腹は代えられないのだった。
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