理系バカと呼ばれ | ナノ
身近だけど
下ネタ注意。
世界には、知らない事が沢山ある。自分が調べられるのなら、追求したいと考えるのが香奈なのだが。
現在は、一応仮にも思春期の少女である。
「ね〜。昨日朝立ちって初めて見たんだけど〜みんな何歳からなるの〜?」
昼休みの食事中。素朴と言えばそうなのだが、相応しくない話題に咽せたり、吹いたりするメンバー。正直汚いが、質問が質問なのである。
ハンカチで口元を拭きながら、跡部は眉間にシワを寄せて香奈を睨む。かなり怖い筈だが、香奈には全く通用しない。
「…見た…?」
「うん〜。お父さんが珍しく寝過ごして〜起こして下さいってスタッフさんに頼まれたの〜。」
加えて香奈の父は、休日を裸で引きこもって過ごす。そのまま寝ていれば嫌でも見てしまうが、腐っても外科医。そんなものを見てキャーキャー騒げる性格ではないのだ。
エコロジーとは無縁の生活を送る、信濃家は部屋さえ気にしなければ快適。数学者の父は、研究所で夜に活動する。そんなワガママが通用しているのは、昼間が本当に使えないからだ。
「ゲホッ、香奈ちゃん…食事中に下ネタは堪忍してくれんか?」
「下ネタ?」
ゆっくり首を傾げる仕草はお馴染みだが、顔色はともかくふっくらしてきた。前がやせ細っていたから、胸が大きい事自体不思議なのだが…生まれを鑑みると何とも言えない。
そんな事を彼らは考えてもいないが。裏話にロクな事が無いのだから。
「下半身の話や。」
「アキレス健の動きとか〜?」
「下に行き過ぎや!あんな香奈ちゃん。」
と、言うなと言っておきながら説明を始める忍足。科学に関わる話なら、香奈も理解を示す。
「侑士君、なんで乳房(にゅうぼう)が〜下半身の話に関係するの〜?確かにメスの性器に関連する事だけど〜。」
立ち直った日吉が、忍足と香奈の頭を日吉必携でひっぱたいた。忍足は日吉を睨んで文句を言う。
「何やねん日吉!俺まで叩く必要あんの!?」
「すいません手元が狂いました。」
ちっとも心のこもっていない謝罪だ。
跡部、忍足、日吉以外はまだ頭を抱えたりうなだれたりしている。それだけ、香奈のデリカシーの無さに絶望感を覚えているのだ。
わざとやっているんじゃないか?と思いたくなるぐらいには。
「食事中がダメって事は〜休み時間の教室はいいの〜?」
「いいわけあるか!!」
3人揃って怒鳴りつけた。残りが復活したら、また延々と説教されるのだが。忍足は嫌がらせを後に提案する。
真人間にする会、会員だからこそ。とんでもない事になるのは解りきった事だ。
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