理系バカと呼ばれ | ナノ
誰か否定して




案の定、綺麗さっぱり忘れていた香奈。
業を煮やした立海メンバーから、迷惑メールよろしく苦情メールや電話が殺到し香奈は髪を引っ張られて立海に連れて行かれた。
笑顔の怖い立海レギュラーが勢揃い、と言うのも圧巻だ。氷帝メンバーも笑顔が怖いので近寄りたくない。

「会いたかった!ドクター信濃!!あぁ、何てお礼を言ったらいいんだろう!俺はこの通り元気です!」

熱烈に香奈の手を握り締めて、幸村は興奮気味にまくし立てたが。

「…だぁれ〜?」

ピシッ、と音が聞こえそうな勢いで幸村は固まった。立海メンバーは、やっぱりな。と言わんばかりだ。

「香奈、俺んことは覚えとるか?」

「あ、あなたはいつかのなんとかという人。」

日吉はたまたま持っていたノートを丸め、思いっきり叩いた。やたらといい音がして、日吉は首を傾げる。しっくりくるのだ。

「やっぱり誰一人として覚えとらんやん。」

「つーか、日吉。何ノートガン見してんだ?」

「向日先輩…ノートで叩いた方が何となく、しっくりくるんです。」

氷帝は氷帝で話を始め、立海は幸村を立ち直らせるべく努力している。

「景吾君、この人達がどうかしたの〜?」

「香奈の記憶力の無さに呆れてんだよ!」

「信濃、差し支え無ければギラン・バレー症候群についての、お前の意見を聞きたい。」

柳が気を取り直して、香奈に尋ねると潤滑油を注いだように、前例から現在の治療法について延々と語り始めた。そこまで言われても解らない、と白旗を揚げられたが。

「…ドクター信濃、だよね…?」

アメリカに行き、あれよあれよという間に症状が無くなって、運動も大丈夫だと言ってくれた。間違いでは無いのだが、如何せん人間性に問題が山積している。ボランティアで、スタッフも親切だった優しい時間を裏切られた気分だ。

「あぁ、信濃だ。早ければ一週間で全部終わると言い切った、蓮二によればノーベル物理学賞の受賞資格を持っている。人間性はこの通りだがな。」

香奈を真人間にする会、が作られ自分達も参加している事を真田は説明した。

「理系なら何でもアリなんだってさ。幸村君の治療も化学も物理も出来て英語ペラペラ。…信じたくない気持ちは解るから。赤也の目覚まし作ったし。」

調べられるなら、調べたいと無邪気に言う。虫も殺さぬ顔をして、あっさり解剖や実験に突っ走る。
人は見かけによらないが、ここまで来ると有り得ないを連発したくなる科学者。専門は外科だが、それ以外も学んでいるのだ。
結局、幸村も会に参加する事にしたのだった。

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