理系バカと呼ばれ | ナノ
風変わりで済ませるか




ものによっては一週間で全部終わる。と香奈が言った通り、2週間足らずで香奈と幸村は帰ってきた。
加えて材料を採らせて貰う条件下、ボランティアになったのだから、香奈の財力がどれほどのものか推して知るべしだ。
無論、氷帝も立海も固まっていた。

「…仁王君。私達の努力は何だったのでしょう?」

「すまん、なんも言えん…香奈のコネが偉大なんじゃろうな。」

本人では無いところがミソである。人間性は皆無、寧ろマイナスの数字で表現出来そうなのだ。

「…香奈ちゃん、ものによっては、一週間でって言うとらんかった?」

「ドクタークリューガーが提唱した案から〜ヒントを得て新しいやり方やってみたんだよ〜。」

あっさり言っているが、とんでもない事である。難病と言われ、打ちひしがれていた幸村を…例えるなら金魚すくいで網を使うような裏技だ。
当然だが、幸村本人及び家族からの了承は得ている。医療現場のややこしい事は香奈も覚えさせられた。
定期検査は半年だが、香奈はそちらに詳しい医者を呼びつけて一任していた。
つくづく、コネが謎だ。

「ドクター信濃には幾ら感謝してもしたりないよ。わざわざ、日本語を話せるスタッフを集めてくれたんだって。風変わりなお医者さんだったけど、ちっちゃくて可愛かった。」

嬉しげにリハビリに励む幸村だが、知らない事は幸せでもある。
髪の毛を結ばれていたのだろう、不気味さが緩和されていた。日焼けで顔色の悪さも。
ちなみに日本語を話せるスタッフを集めたのは、いちいち訳す手間を省きたかっただけなのだ。権力は無いが、取り入っておきたい者は掃いて捨てる程いる。

「よ、良かったッスね幸村部長…。」

実体を知る赤也は何とも言えなかった。どれだけいい事をしても、やられた事を思い出すと何とも言えないのだ。
目覚ましは、少なくとも一年は持続する電池。加えて市販している電池とも取り替えられる、妙なところにこだわった品。

「で、香奈。その頭はどういう事?洗ってないよね明らかに。」

「うん〜。分析に時間が」

氷帝男子テニス部に備え付けの、シャワー室に学校で押し込まれた香奈。
アメリカに行っている間、寝食共に疎かにしていたのだ。跡部の予想通りだが、香奈専用部室にベッドを備え付ける事になった。
寝ていない時は、顔を見れば解るので寝かせるのだ。簀巻きにして、授業をサボらせる。体格や筋力が普通に劣るので、見張りは誰でも出来るのだ。
…芥川は一緒に寝てしまうが。

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