理系バカと呼ばれ | ナノ
1人に一機自家用ジェット
理系バカ、と言われるだけあって理系の知識量は柳すら上回る。理系だけ。
医師免許を持っていて、貪欲なまでに追求する姿勢と言えば聞こえはいい。手段を選ばない欠点が、彼らには巨大なのだ。
「信濃、頼みがあるのだが本当に医師免許は確かなのだな?」
「うん〜。日本じゃ使えないけどね〜。」
能力は掛け値なしに高い。だが社交辞令や謙遜といった、慎み深さとは無縁。事実でも目指す人へ喧嘩売ってるのか、と勘違いされかねないのだ。
「ギラン・バレー症候群に似た症状で入院している俺達の部長、幸村がいるのだが治せるか?」
真田の真剣な眼差しにも、香奈はのんびりお茶を飲んで口を開く。
「特定されない理由、今までの調査と発症時期、色々調べないと解んな〜い。ものによっては〜一週間で全部終わるけど〜。」
かなり深刻な病気なのだが短期間で医学のトップクラスにさえ恐れられるようになった、奇跡の外科医と呼ばれる香奈はさらりと言ってのけた。
「…そんな簡単に治せるものなのか?」
「進行具合にもよるよ〜?特定されてない理由次第ではボランティアにするし〜一個で足りるかな〜?」
嫌な予感がしつつも、真田は疑問を放って置けなかった。人間性はともかく、必ずとは言わない正直な事を当てにしたのだ。
「何が、一個だ?」
「飛行機だよ〜。私は一個しか持ってないし〜足りなかったらお父さんに借りるかな〜。」
真田は額を押さえてしまった。と言うか、居合わせた立海メンバーが頭を抱えている。跡部は当たり前のようにしている。
「あーん?香奈、金持ちのクセにジェット機一機しか持ってねぇのか。何なら俺様が使う奴を貸すぜ。」
「あ、それはうれし」
「お前らブルジョア会話ナチュラルにすんな!普通ジェット機なんか持ってる中学生がいるかー!あっさり貸すとか教科書レベルに落とすなー!」
宍戸の渾身のツッコミに、頷く一同。
「宍戸先輩の言うとおりです!確かにお2人はやたら金持ちで金銭感覚おかしいですけど堂々と言う事じゃありません!」
「そうなんだ〜。景吾君、設備と人員は私が選んでいい〜?」
日吉、忍足、仁王が同時に駆け寄ると香奈の頭をひっぱたいた。
「人の話を聞け(聞いて下さい)!」
「聞いてたよ〜?」
ただし、全く理解出来ないのだ。あるものを使わない事は、時間の浪費にしかならないのだから。
「えっと〜そのギラン・バレー症候群の人にも伝えてね〜?多分アメリカから公式で呼ぶけど場所取りもあるから〜。」
また懇々と説教されている香奈だった。学ばない。
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