理系バカと呼ばれ | ナノ
お姫様の起こし方




傍から見ていると、小柄な女の子を男が2人がかりで襲い掛かりそうな、怪しい事この上ない図だが。被害者と思われる香奈に危機感は欠片も無い。
それよりも香奈は動けないので、目が覚めて忍足の腕を叩いたが起きないので、指をあらぬ方向へぐきっと曲げた。

「ぎゃぁぁあああ!!」

「あ、起きた〜。侑士君おはよ〜。」

手を押さえながら、涙ぐむ忍足。普通に痛い。
爽やかな朝に相応しくない絶叫で1日が始まった。

「商売道具に何してくれとんねん!選手生命やぞ指は!」

「関節の仕組みは〜そんなに難しくないよ〜?」

仁王が香奈の頭を叩き、とりあえず支度をさせていたのだが。目覚ましが大音量で合宿所全体に響いた。
事前に、忍足と仁王は耳を塞いでいた。
朝食で香奈が、音量調整最中に一度も使わなかったベッドに、連れて行かれたと説明した。脱力感がメンバーを襲う。

「もうやだ、あの目覚まし…何であんなもん作るんだよーっ!」

切原の偽らざる本音。朝から真田の怒声で起こされる事が、トラウマになりそうなのだ。

「流石理系バカ…。」

メンバーの声が唱和しているが、香奈と真田はのんびりとお茶を飲んでいた。

「起きるなら使わないのにな〜。」

「うむ。あれしきで狼狽えるなど精神の鍛錬が足りんな。しかし、信濃。完成した暁には譲っては貰えんだろうか。」

「いいよ〜真田さん。完成品に興味は無いし〜。実験も兼ねてたからね〜。」

音質の悪い録音機を媒体にどこまでリアルに再現するか、と言う傍迷惑極まりない実験。
朝からぐったりしているメンバーもいる。真田は香奈の能力は高く買っているが人格に問題がありすぎると践んでいる。

「香奈!何のんびり茶なんか飲んでんだ!」

宍戸の声に香奈は首を傾げて、不思議そうだ。

「説明不足だった〜?」

「ちげーよ!ジローも起きる最悪の目覚まし作りやがって!」

向日の言葉に、香奈は更に不思議そうな顔をした。あんなに起きない芥川も、目が覚めるのなら性能がいいと言う事ではないか?としか考えられない。
そして午後は休みだったのだが。忍足と仁王の通報によって、香奈は午後を潰されて説教をされ続けた。立海メンバーも参加したのだが、白嶺は入り込む勇気も出ないぐらいに凄まじい説教。
日吉と真田は、説教がとても長い。

「パジャマ、何年同じの着てるの?」

「免許取ってから〜。」

「医師免許いつ取ったんだよ香奈!」

「10才になる年だった気がする〜。地震がたくさんあって〜調査に行けなかったんだよ〜。」

頻発、群発などは香奈の日本語能力で説明出来ない。それよりも、立海メンバーは香奈が医師免許を持っている事に驚いていた。

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