理系バカと呼ばれ | ナノ
切ない宝の持ち腐れ
間延びした声で、化学についての講座をした後。
香奈の見張りを誰にするかと会議が始まった。あの異次元空間に耐え、尚且つ香奈の突拍子もない行動に対応出来る、姉を持つ人間。先ずは見てから判断しようとなり、白嶺もチャンスだとめげずに挑んだ。
「…何だこの生活感の無い異次元空間は。」
氷帝メンバーは一度は見ているが、やはり香奈と2人でこの部屋に居続けられるか?と問われれば否。
立海メンバーを柳が代弁するかのように、そっくりそのままな意見を放つ。
「ま、普通ドン引きするわなぁ。俺、誰かとペアやったらやるわ。1人は無理やし。こわぁてしゃあないもん。」
「これは流石に躊躇する気持ちも解りますね。」
忍足や柳生はポーカーフェイスを保ちながら、半ば現実逃避をしている。
ちなみに、香奈は風呂に放り込まれているから言いたい放題だ。
「無理無理無理!俺無理だからな侑士!!」
「俺も無理。ホコリ一つ無くても金属片散らばってるからね。」
悪夢の真田目覚まし作成の際に、出来た副産物なのだがマトモに踏むと痛い。
他の面々も、口々に無理だと言う中。
仁王が挙手した。自然と仁王に目が向く。
「俺もペアじゃったらやるぜよ。香奈はほっといたらまた目覚まし作り出すじゃろ?」
こうして、荷物などを持ち込んで忍足と仁王がペアになった。ドアを開けっ放しにしていれば、出入り自由なのだ。
流石に赤外線センサーを作る暇は、無かったようである。
「89793238…あれ〜?侑士君と〜…誰だっけ〜。」
びっしょりと濡れた髪の毛に、肌にまとわりついて透け気味のパジャマ。ゆっくりと首を傾げる香奈に、忍足はにっこり笑い
「香奈ちゃぁん?そんサービス精神たっぷりなカッコはどないしたらなんねん。風呂上がりそんままパジャマ着てへん?ブラは?」
洗いざらい吐かされた香奈曰く。風呂から上がればタオルを使わず、下着を穿いてパジャマを着る。
ブラは付けていないとの事でバスタオル使用を義務化され、問答無用でブラを付けさせられた。
「音声はともかく〜音量と時間設定〜、必要時に鳴るように作って〜」
工具を片手に、無理矢理明るくさせられた部屋で作業を続ける香奈。
「香奈、2時じゃ。寝る時間ぜよ。」
「待って〜後2時間。」
「2時間も待つか!普通5分じゃろ!?」
間髪入れず、仁王が突っ込んだが失言に気付き、軽すぎる香奈の体を抱えて仁王と忍足、挟み込んで寝る事にした。
言動をスルーしていれば、香奈は文句なしに胸の大きい女の子。どっちが前か後ろかで、結構揉めていた辺り、図太い。
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