理系バカと呼ばれ | ナノ
節水に協力しないで
相変わらず、練習ではあちこちを走り回りっている香奈だが。水分補給をさせないと倒れてしまうので立海も、水分補給に協力していた。
「香奈!いい加減水分を取りんしゃい!」
「え?まだだいじょ」
「じゃなくなったら手遅れだろーが!飲め!」
切原にすら言われる始末である。
成分もレシピも同一なので香奈に予備として、跡部は2本余計に作らせている。白嶺の分だ。
ラッパ飲みを始める香奈の白い喉に、思わず注目してしまうのは悲しい思春期の少年の性。
髪の毛も束ねられ、暑苦しさが軽減されている。仁王が結んだのだ。
「ふぅ。立海の皆さん休憩後3分です。」
時計も見ずに、しっかり伝えるとまた氷帝コートへと走り出した。
「…誰かアンドロイドだって言ってくれ。」
「丸井、日焼けするアンドロイドって居るのか。目の下に隈もあったし。」
少しは、日焼けで顔が赤らんでいるが他は青白く、隈があるので顔をあまり直視したくはない。
ジャッカルがぽつりと呟いて、否定する。あんなに学習能力の低いアンドロイドは、正直使い物にならないだろう。
「立海の皆さん休憩終了です!」
「…のう参謀。」
「何だ?」
「香奈の胸、かなりデカく見えるんじゃけどぉ!?柳生なんじゃ!?」
柳生が容赦なく、練習に引きずって行った。
確かに、香奈の胸は体格に合わない程大きい天然だ。自家栽培とも言う。目がつい行くのも仕方がない。
だからと言って堂々と話す仁王も仁王だが。
「休憩終了ですから。」
紳士たる者、下世話な話をするべきではない。
氷帝に熱烈な応援をする白嶺は、最早相手にすらされていなかった。香奈にしても、興味のある個体に見えない位に魅力が無い。
「信濃さん、私達お友達よね?」
否とは言わせない、という勢いで選手を観察していた香奈に、白嶺は笑いかけたのだが。
「お友達、とはどういった定義ですか?私にはお友達という概念が解りません。協力者、ならば解りますしカテゴライズする意味はどこに?」
概念、は英語で言っているので白嶺は返答が出来なかった。英語の方が、香奈には馴染み深い言語なのだ。全てを数字で片付けて来た香奈にとって、人間の見えない感情を求める事が理解出来ない。
自分には出来ない事を褒められる程、香奈は年齢を重ねてもいない。
答えられない白嶺を無視して、効率しか見ない香奈は作業を開始した。
「景吾君、休憩5分前だよ〜!」
共通の目的を達成したい、それは日本語で何と呼ぶのか?と一瞬考えたが、無駄だと切り捨てた。
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