理系バカと呼ばれ | ナノ
色々ヒドい。




頷いた自分がバカだったのか、それとも禄に休む間もなく次々にテストを出す香奈がバカなのか。甚だ怪しいとドリンクを飲みながら気が遠くなる立海メンバーだった。
汗だくになり、呼吸に忙しい者もいる。

『次は1万メートル走です。終了次第、昼食となります。』

陸上選手なら、40分もあれば走れるがその前が悲惨だった。全力で叫び音の大きさを測る、全身の柔軟性を測る、助走付きの高跳びなど常識的ではあるが、一度にやる事ではない。
理解した柳生は倒れたくなったが、休憩はしっかり入っていてドリンクを飲んで汗を拭く時間はある。
無駄口を叩く暇は無い。

「…信濃、後どの位あるんだ?」

『午後は25項目です。計50項目です。』

ジャッカルも気が遠くなった。午前中はあまり時間を掛けないものだったが、午後は覚悟しなければならないだろう。
氷帝は白嶺がサポートしていたが、レシピを事前に跡部は聞いていたのでシェフに一任し飾りも同然。
何をしようと香奈と比較され、プライドは粉々になっていた。

「本当に鈍臭い人ですね。人間性に問題のある香奈先輩の方がマシです。」

「日吉、言い過ぎだよ。すいません白嶺さん、そこ退いてもらえます?」

毒舌全開の日吉に、フォローになっていないフォローをする鳳。
挫けたくもなるだろうが、氷帝メンバーはもっと挫けたい。香奈に女らしさを覚えて貰う、無理難題を抱えている。

「日吉、鳳ー!俺と侑士が交代するから休めよー!滝が時間測ってっから!」

「後5分だからー!」

1人で全部こなしていた香奈が、マネージャーとしてとんでもなく有能であると認識している氷帝。

「あの、私は何をしたらいいかなぁ?」

「とりあえず邪魔しないで下さい。ウザいんで。」

「だから日吉、言い過ぎだって!休憩行こう。」

白嶺を冷ややかに一瞥した日吉に、鳳は会釈だけして休憩に向かった。1日、こんな調子だったのだ。
夕食になると、疲労困憊の立海メンバー。口を開くのも億劫だった。

「お疲れさん。キツかったんとちゃう?」

「…忍足…おまん知っとったな…?」

「俺らもやってん。花畑見えそうやったわ。」

恨めしげに忍足を睨む仁王だが、白々しく跡部は条件にしたのだ。宍戸も心では哀れんでいた。
―香奈は、研究に関してはプロなんだぞ―
と食事を続ける。

『総合力としては、真田さんが最もバランスの良い肉体ですが、やはり切原君の目が最優先課題かと。』

「ほぅ?香奈、俺様の目はどうした?」

白嶺も懸命に話し掛けていたが、報われない。

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