理系バカと呼ばれ | ナノ
迫り来る恐怖




香奈の部屋から出た3人は立海レギュラーを集めて、香奈の部屋の異常さを語り始めた。
赤也は思い出したくもないのに、目に焼き付いたようだった。

「有り得ないッスよあの部屋!特製せき何とかとか、ダンボール山積みで暗いしコードだらけであんなん居られたら変ッス!」

「…赤也、それセキュリティだろ。カタカナ、ホントダメだな。」

呆れたように丸井が突っ込むが、あまり思い出したくはないのだ。
薄暗い部屋にぼんやりと浮かぶ、青白い香奈の顔。はっきり言ってホラー以外の何物でもないのだ。
本人に悪気はないし、いつもの事なのだが。

「しかも英語ペラペラじゃった。聞き取れんかったぜよ。」

「ノーベル物理学賞受賞資格を最年少にして持つ、インターネットですらその真の姿を探れない信濃さんだからこそ、だな。まさかセキュリティまで作るとは底が知れない。」

柳が白旗を揚げた。
香奈はメモをあまり書かない。結果を纏める為に、ノートを使用するが読めたものではないのだ。
暗号化されている訳ではないが、汚すぎる字。そこから調べるには難しいのだ。

「つーか、白嶺をまだちやほやしなきゃいけないのか?」

ジャッカルが理解出来ないので、話を逸らす。と言うかこちらが本題だ。

「信濃の動きと比較してはならんが、手際が悪い事を否定は出来ん。」

「元々平に頼りがちでしたから、信濃さんのお陰であの動きが一般的だと、思い込ませるには充分でしょうね。」

その効率しか見ない所為で熱中症になり、ぱたぱた倒れているのだが。
所詮は他校のマネージャーなので、他人事なのだ。今は。

「効率のみを考えているようにも見受けられる。英語に堪能である事は仁王が聞いてもいるから、この際1日英語で会話して貰う案もある。」

「えぇっ!?ちんぷんかんぷんッスよ!?」

心の底から嫌だと赤也は主張したが、英語が壊滅的だからと解釈される。

「跡部に頼んでみるか。」

「良かったですね切原君、きっとリスニングが上達しますよ。」

真田があっさり言い、柳生は笑っているが事の重大さを解っていない。
アメリカ英語を、凄まじい速さでまくし立てる香奈なのだ。

「明日の朝にでも頼めばいいだろう。白嶺も英語は壊滅的だからな。何か条件を出されても大した事にはならない。」

柳の推測は、名目なら本当に大した事ではないが…中身に問題がある。消耗戦を好む跡部さえ、二度とやりたくない事を条件とは名ばかりにやらせるのだ。
人類の限界を求めている訳では無いが、出来る範囲ならあれこれやる。

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