理系バカと呼ばれ | ナノ
慣れもある。
香奈が倒れている間、白嶺は忙殺された。加えて情け容赦なく、樺地が香奈のコピーをして手際良く片付けていくのと、氷帝メンバーが歯牙にもかけない。
お近づきになるチャンスは永久に無い。香奈だけでイライラしているのだから。
「ん。日射病〜。萩之介君、耳温計取って〜。」
「日射病でも熱射病でもどうでもいいから、倒れすぎだよ。ハイ。後でドリンク飲むように。」
「はぁい。」
香奈の意識回復には、約25分かかる。
それすら把握してしまった氷帝メンバーは、妙な情けなさを禁じ得ない。直射日光を長時間浴びるようになって、日が浅い事や忙しさにかまけて体調管理を疎かにしがちな香奈。
それから更に30分休ませて復帰となる。
「体温は普通。ただ水分不足かな〜?」
「解ってるなら早く帰って来てよ?ホント香奈に慣れるとあの女鈍臭くてイライラするから。」
「ひゃい。」
軽く頬をつねられ、情けない返事しか出来なかった。それだけ重要視されている事の裏返しなのだが。
復帰してからは、いつも通り暇さえあれば選手を観察しながら、数字が頭を乱舞していた。
そして夕食。どこからどう見ても少なすぎるメニューだが、以前よりは増えていた。そして食事をしながらのんびり会話。
「景吾君、対象になる人は〜現在1人だよ〜。」
「1人だけか。王者も香奈の前には形無しだな。」
「あの目は〜面白い素材だよ〜。動きも全然違うから〜脳にも何かある〜。眼球だけでも〜抉らせてく」
忍足がまた叩いた。食事中の話題にするな、とまた説教が始まった。
「飯食ってんのにグロい話題出すな!食事中の禁止事項増やすぞ!」
ホラー嫌いでなくとも、食欲減退は免れない。そんな事を知らない立海メンバーは、明らかに切原の目だと予想出来るが何か恐ろしいものを見る感覚だ。
「…俺の目ッスよね。え、抉らせてって…。」
「禁止事項とはどういった事ですかね。白嶺さん、何かお聞きしました?」
どうせ知らないだろうけどと、意地悪な質問を柳生はかけた。
「う、ううん…知らない。ごめんね?私が一番信濃さんの近くにいるのに。」
「無理矢理聞き出さなくていいからな?ロクな女じゃなさそうだ。」
ジャッカルの言う意味とは違うが、碌でもない中学生である事は本当だ。
「あ、景吾君。新しいOS圧縮したよ〜。」
「話を誤魔化すな!」
USBメモリを受け取った跡部だが、それでも説教は終わらせなかった。長々と、香奈は正座をさせられてまた立てなくなっていた。
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