理系バカと呼ばれ | ナノ
顔色がいいのはマズい




白嶺と香奈、マネージャーは2人なのだが片や200人を超えるテニス部で学校を走り回る、効率しか見ない理系バカである。
レギュラーだけを、キャーキャー応援しながらサポート?していた白嶺について行ける筈がない。

「立海15分休憩です!タオルとドリンクはこちらに!」

練習の手を止めた立海メンバーは、ひたすら機械的にボールを集めては運ぶ香奈に恐怖を覚えた。途中に手を止めて氷帝コートへと走り出し、往復する。
次第に香奈の顔色が良くなっていくのだが、マズいと宍戸が声を掛けた。

「香奈、いい加減水分補給しない」

パタリと香奈が倒れた。体重が軽すぎる為ダメージはほぼ無いが、体温の上昇は香奈も止められない。

「…5回目ですね。」

「クソクソ香奈!あんだけ言ってなんでまた倒れるんだよ!」

日吉と向日が首を竦めた。香奈関係は溜め息の止まらない氷帝メンバー。しかしサポートどころか応援ばかりしている白嶺は、チャンスだと確信していた。

「滝、香奈を拾え。後は樺地がサポートする。」

「はいはい。まったく、香奈はこういう事学習してくれないねぇ…。」

歩くスパコンのショート、と滝は例える香奈の熱中症は忙しいとよくある。

「白嶺さんでしたか。出来るのであれば、立海で香奈先輩がやり残した事をして下さい。」

刺々しく、凍るような日吉の言葉に白嶺は頷く他無かった。
立海コートに行くと休憩中だった筈なのに、美しくボールは片付けられドリンクやタオルを使うレギュラー達。
いっそ、自分も熱中症のフリをしようかと思うぐらいだ。

「いつもと味付け違うッスね、ドリンク。」

「あぁ。いいデータになりそうだな。」

最早用無し、香奈の仕事は速く正確だから永遠に比較される。人間性がどうあれ仕事が完璧ならば、それなりの評価が与えられる。
白嶺はその事に気付かず、にこやかに話しかけた。

「みんなお疲れ様!ドリンクどうかな?新しい作り方やってみたんだけど。」

「えぇ、とても美味しいですよ。」

いつもの薄めたスポーツドリンクと違って。と言う嫌みを込めて柳生は笑いかけていた。残念ながら、白嶺には通じなかった。

「コレ、また作ってくれんか?」

「うん、有難う!信濃さん倒れちゃったし頑張るからね!」

笑顔を残し、タオルなどを運ぶ白嶺を冷ややかに立海メンバーは見た。

「…今の今まで氷帝に騒いでおきながらよく言えたものだな。」

「弦一郎、問題ない。信濃さんは無駄話を好まないどころか、作業ばかりしている。」

追放計画を、柳は提案していたのだ。

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