理系バカと呼ばれ | ナノ
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氷帝、立海と錚々たるメンバーだが女子は2人。
白嶺と言う、幼い色香を全面に無理矢理押し出した立海のマネージャー。そして香奈は、顔色がいつにも増して悪かった。
長時間乗り物に揺られて酔ったのだ。

「景吾君、また全員覚えなきゃダメ〜?」

大量の荷物を樺地や鳳が運ぶ中、香奈は真っ青な顔で跡部を見上げた。
立海メンバーは香奈の姿に固まっている。顔色の悪い小柄な、貞子のようなマネージャーにしか見えない。

「いや、名字と特徴だけ覚えればいい。真田、こいつは信濃香奈。ウチのとんでもないマネージャーだ。香奈、覚えろよ。」

「対象になれば覚え」

迷うこと無く、忍足が頭を叩いた。手加減はきちんとしている辺り、女の子として見ている。

「こないなカッコやけど、黙らせときゃ無害やし仕事もそこそこ出来んで。」

「…跡部。信濃香奈とは、一昨年の夏、タイムマシンの理論を書いた信濃香奈なのか?」

「理論だけね〜。光速に耐えるきんぞ」

傍から見ていると、遠慮無くバシバシ叩かれている。今回は荷物を運び終えた日吉だ。

「香奈先輩、運びましたよクソ重い荷物。着替え持ってきてんですか。」

「あ。セキュリティ作りに時間かけたから〜分かんないや〜。」

「んなこったろうと思って準備してやった。」

衣服に素晴らしく関心の無い香奈。跡部はある程度予測して、手配をした。無駄に金持ちの2人は、金銭感覚がおかしい。

「信濃さん、是非その理論について詳しくお聞かせ願えますか。」

「いいよ〜?」

柳がノートを片手に、聞く気満々である。一通り自己紹介をされてから、香奈と柳は理系談義を始めたが再び日吉に叩かれ、特別に用意された部屋に向かわされていた。

「柳君、よくわかんない話してたけど何の話?」

「最年少でノーベル物理学賞受賞資格を持つ、信濃さんの発表した論文についてだ。まさかあんなに幼いとは…。」

「いや柳も同い年だろ。つーかそんな天才的ってか天才?がなんで居るのか疑問はそこだろ。」

立海の会話に、氷帝は答えない。正直に言いたくないだけなのだが。

「練習の邪魔にならなければそれで構わん。肩書きよりも働きを見ろ。特に赤也は。」

「うぃーっす…。」

2時間、香奈に割り当てられた一室から凄まじい音が響き渡り、立海メンバーは何事かと見に行った。

「電圧が低いっ!こんなんじゃブレーカーも作り直すよ!?」

作業中、上手く行かないと香奈はやたらと怒鳴る。作業音にかき消されるが、迷惑だ。

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