理系バカと呼ばれ | ナノ
ブラ?ブラックホール?
あとベッキンガム宮殿に着くなり、香奈は風呂に放り込まれた。
しかし、時間を惜しむ香奈は10分で上がってきた。標準服は洗濯をしているので、着回している。
「…おい。香奈を徹底的に洗え。」
「かしこまりました。」
再び風呂に入れられ、頭から足の先までこれでもかと数人がかりで洗われた。ムダ毛処理までされる用意周到さだ。
跡部達はのんびりと、紅茶や菓子を楽しんでいたのだが。
「坊ちゃま、一つ報告をさせて頂けますか?」
「何だ。」
「端的に申しますと、信濃様はブラジャーを使用されておりません。」
樺地以外は紅茶を飲んでいた者は吹き、それ以外は頭を抱えた。標準服からでも判る豊かな胸、下着まで使わない事を考えて居なかった。
「お前の見立てでは。」
「測らせて頂きましたところ、F70で御座います。スリーサイズは如何致しましょうか。」
「測れ。」
メイドが去った後、ハンカチやナプキンで口を拭う者や、何とも形容し難い唸り声を上げるメンバー。
スリーサイズの報告を受けて、跡部は洋服と下着を注文させた。
「…想像以上のでっかい胸なんやけど…使わんって面倒くさいからか?」
慣れないと違和感で動きにくい、とも言うがどこもかしこも細いのに胸だけが無駄に大きい。
「胸も邪魔だって思わない辺り、本当に理系バカなんだね…。」
青白い肌に、長い髪。スタイルの良さを不気味さで粉砕するとんでもない女だ。風呂から上がり、ドライヤーまできっちりされて青いワンピースを着せられた香奈は、顔色が良く髪も綺麗にセットされて印象が大分違った。
「あっつ〜い。あんなに長くお風呂なんて〜初めて入ったよ〜。」
これだけを見れば、騙される人も居ただろう。中身がとんでもないが。
床に胡座をかいて座った香奈に、樺地以外が叫んだ。
「立て!!」
普通の女子生徒ならば、すぐさま立ち上がるだろうが香奈は違いすぎる。
「なんで〜?床は〜冷気が溜まりやすいんだよ〜?暑いからいいでしょ〜?」
良くないから言っているのだが、理解していない。
忍足は香奈を立ち上がらせ散々洗われたので膝に香奈を乗せて役得を奪った。
「香奈ちゃん、スカートん時はあの座り方したらあかんねん。ブラも使ってへんってスポブラとかも?」
「スポブラ?なぁにそれ〜?」
傍から見ていると犯罪以外の何物でもないのだが、年齢は同じなのだ。
忍足は根気強く、香奈に懇々と言い聞かせていたがどの道無駄だったのだと知るには、まだ時間がかかる。食事もあとベッキンガムで食べさせる事になった。
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