理系バカと呼ばれ | ナノ
え?気にする事?
今朝も今朝で、着替えているメンバーをスルーしてパソコンをいじっていた上に男の前で着替えようとした事について、凄まじい勢いで言及されていた。
「着替えてる男ばっかの部屋に堂々と入るな!激ダサ越えてんだよ!」
宍戸が恥ずかしかった事を思い出し、僅かに赤面しながら怒鳴る。
香奈は正座をさせられたまま、目を瞬かせている。
「それに俺達の前で着替えようとしましたよね。恥じらいとか、気配りとか覚えて下さい。こちらが嫌ですから。」
いつもは穏やかな昼食が、香奈によって粉砕されている。日吉は真顔だ。
「香奈、お風呂に入らなかった証拠って日吉が言ってたけど何日?」
「4日くらい〜?4時間睡眠確保しないと〜また倒れるから〜。」
滝が目の笑っていない笑顔で尋ねたが、香奈の発言によって眉間にシワが寄るメンバー。忍足は自分の手を慌ててタオルで拭く。
「4日ぁぁぁ!?しかも4時間睡眠確保って短すぎだろ!寝ろよ!」
「岳人君、時差って知ってる〜?アメリカと連絡するには〜夜半が最適なんだよ〜?」
アメリカには香奈の母がいる。別に母に限らず連絡をしているのだが、そう解釈するのは仕方ない。
「要するに、香奈は20時間活動してる訳か。風呂入る時間あるだろ!」
跡部が青筋を浮かべているが、香奈は研究第一。面倒くさい事は苦手でもあり、大嫌いだ。
「キーボード打ちにくくなったら〜爪は切るけど〜それも面倒くさ〜い。」
「面倒くさいの一言で済ますなや!女の子なんやし気にしい?」
女らしさと言うか、日本人らしさが死滅しつつある。清潔感が売りなのだから。香奈は逆に全力疾走しているようなもの。
「お父さんもお母さんも〜あんまりシャワー使わないよ〜?普通でしょ〜?」
「普通じゃありません!異常ですよ!?」
鳳が泣きそうな声で訴えるが、強制力は無い。
跡部は指を鳴らし、はっきりと言い切った。
「生徒会長兼部長命令だ。毎日風呂入れ!」
「だって」
「だってじゃねぇ(ありません・あらへん・ない)よ!!」
香奈の家は、シャワーはあるが風呂はない。スペースの無駄だと撤去された。よって、風呂に入るのは無理なのだ。
正確な定義で香奈は話す。
「跡部部長、これから香奈先輩に、女性としての概念を教え込みませんか。」
「俺も日吉に賛成!氷帝にあるまじき無精は直すべきだよ!」
日吉が言い出しっぺで、口々に賛成するメンバー。矯正される香奈は、女性としての概念って何?と首をひねっていた。
体は紛れもなく女なので、考えだと理解していない。
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