理系バカと呼ばれ | ナノ
や、いつもの事なんで
とりあえず昼食、となったのだが。
香奈のお弁当は恐ろしく小さい。栄養のみを考えて、凄まじく必要最低限にしたものだ。
手抜きは当然、とりあえず食べとけばいいとめちゃくちゃに一緒くたにした、サンドイッチをものの数分で完食していた。…味覚が無い訳では無いのだが、気にしないのである。
「ごちそうさま〜。」
ちょっと待て。そんだけでいいのかお前。とメンバー全員の手が止まった。
「…香奈先輩、それだけしか食べないんですか?」
いくら何でも少なすぎていつか倒れそうだ。と鳳が口を開いた。
「うん〜。論文読みたいから〜。景吾君〜、返して〜?」
「香奈先輩の無精は俺達じゃ有名ですからね。年中同じパジャマ、寝癖が無ければ寝ていないか風呂に入らなかった証拠。食事も必要最低限で、徹夜もよくある話らしいです。」
日吉の発言に、それは人としてどうなんだ?と視線が香奈に集まる。当の本人は跡部に手を出したままだ。報道委員に所属しながら委員長から、頑ななまでに頼りたくないと言わしめた、ある意味伝説。報道委員は聞いているが、半信半疑なのだ。
「…徹夜がよくある話?」
向日は自分の耳を疑った。確かに今日の香奈は、顔色が怖いぐらいに悪い。
ふらふら歩かれた日には、まさしく現世の幽霊を具現化したようなものだ。
「1日24時間だからね〜。気付いたら〜日が昇っちゃってるの〜。」
「お母さん、アメリカやってんな。今ご飯どないしとんの?」
「私が作ってるよ〜?お父さん夜型だから〜多分適度に摂取してるんじゃな〜い?」
医学用語は解るクセに、そうでなければ研究関係しか覚えない。
放任主義も過ぎると、ここまで突っ走る事もある。と極端な事例。
「よく倒れねぇな…。」
「亮君、4日連続徹夜は倒れたよ〜?」
「当たり前だ!どんな生活してんだテメェ!洗いざらい吐け!」
跡部が怒鳴りつけたが、香奈はゆっくりと首を傾げて不思議そうだ。
「嘔吐を意図的にするには〜指を口内奥に入れるって〜過食症の事例にあったけど〜やんなきゃダメ〜?体内の水分」
スパァン!といい音で忍足が香奈の頭を叩いた。
「香奈ちゃん、そないな事食事中に言いなや。言え言うとんねんボケ!」
「ボケ〜?バラ科バラ目ボケ属の〜?」
「どれだけ理系に突っ走ってるの!?」
しかも話微妙に聞いてないじゃん、と滝が叫ぶが香奈は全く理解していない。
「とりあえず正座しろ。」
半ば無理矢理、正座をさせられてメンバーは食事を手短に終わらせて説教を始めた。芥川は既に寝ていて、樺地は沈黙を保っている。
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