理系バカと呼ばれ | ナノ
お前…何者?




流れでマネージャーとしていきなり、部活に参加する事になった香奈。
だが、研究オタクだと誰もが知っている事から、何をされるか解らないと平部員は怯えていた。
その予感は後に的中する。

「とりあえず、コート整備は見て覚えろ。ドリンクは作れるか?」

「一般的なドリンクでしたら。」

一般的ってそうじゃないものもあるのか。聞いていた樺地は、少なからず思ったが口に出さなかった。
あらゆる理系に精通した香奈は栄養価、味を全て考え尽くしたプロの作るドリンクレシピを知っている。
材料費は凄まじい。

「ボールの場所は平に聞けばいい。他に質問はあるか?」

「今日はこの格好で宜しいですか?」

体育無かったし面倒くさいし。と言う本音はまだ見えない。
日常生活のあらゆる事が面倒くさいから嫌い、といっそ清々しいぐらい切り捨てられている。

「仕方ねえ。休憩時間も計れ。」

「はい。では作業を開始します。」

小柄な割には力持ち。日に日に分厚くなるファイルを持ち歩いているから、当たり前と言えばそうだが。しかし、効率のみを考えて動き回るのだ。

「…今日香奈先輩初日ですよね?」

「疑いたくなる気持ちは解るけど初日だ。ドリンクどうやって計算してんだよ香奈。」

ぬる過ぎず、冷た過ぎない喉に心地良いドリンク。絶妙な温度であり、寸分違わぬ時間計測。標準服でてきぱきとボールを拾っていく香奈が、何か別の生き物にすら見える。
気温を肌で計る能力は無いが、ドリンクを入れるキーパーやボトルの発する冷気から、ちょうどいい時間をはじき出す。理系に特化されきった脳みそは、氷帝テニス部で怪奇現象扱いになっていた。

「あ、生徒…景吾君。ドリンクのレシピの件ですが、材料費が全員分作る場合、1日2万5千円必要になります。どうしますか?」

「そんだけか?なら作れ。部費と俺様がバックアップする。」

「はい。明日から開始します。手配はします。」

金銭感覚がかなり間違っている2人。
結局は跡部も金持ちの坊ちゃまで、香奈は特許を山ほど持っている資産家。香奈の総資産は、本人も判っていない。すぐ動かせる金額しか、把握していない。
その事を氷帝では榊しか知らない。

「…香奈ちゃん、ものっそいあっさり言うとるけん、かなり金かからん?」

「一年中部活をした場合は〜単純計算で912万5千円になるね〜。これから気温も上昇するから〜、平均金額を言ったけど〜。」

「跡部ぇぇぇぇ!!早まらんで部費足りんなるでコレ!!」

金持ち学校でも、限界はあるのだ。跡部の財力たるや恐るべし。

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