理系バカと呼ばれ | ナノ
歩くスパコンたる所以




サーブ実験をされた鳳だがふと疑問を抱いた。身長体重を教えた記憶が無い。

「信濃先輩、僕の身長と体重調べたんですか?」

香奈は首を振った。その仕草も緩慢としている。

「見れば大体判るよ〜?185センチ前後、体重72キロ前半から71キロ後半じゃない〜?」

鳳は目を見開いた。忍足や向日は香奈を凝視して固まっている。
そんな事は普通出来ないからだ。

「見ればってそれ身体測定とかの結果だよね?」

寧ろそうであってくれ、と滝は祈りながら聞いた。

「ううん、その人〜。人間しかまだ判んな〜い。滝?君は〜166後半から167前半かな〜?55キロ前半かな〜?」

身長は常に変化する、体重は空腹時と満腹時では全く違うから、断言はしない。それでも充分特技だ。

「…跡部のインサイトに近くないかコレ。」

「あーん?信濃の当てずっぽうと俺様の目を一緒にすんな。」

ボソッと呟いた宍戸に跡部は即否定する。知らなければ、当てずっぽうとも言えるだろう。

「なぁ香奈ちゃん。暗算とか得意なん?」

「ボールの落下地点は〜すぐ計算出来るよ〜。円周率は〜5万桁まで暗唱出来ないけど〜覚えてる〜。」

「信濃さん、歩くスパコンだからね。4万5325桁暗唱して倒れたって。」

体力の関係で、力尽きたのだが無駄な記憶力だ。人の顔や名前を覚えようとしないが、理系なら幾らでも覚えて記憶を更新する。

「スパコンより容量は小さいよ〜?生徒会長が目って言ったけど〜何があるの〜?インサイトって解んないんだ〜。」

「信濃先輩、跡部部長は弱点を見抜くんです。見ただけで、と言う点は似ていなくもありませんが。」

余計な事を日吉は言ってしまった。この研究に人生を捧げるつもりの香奈には、絶好の獲物だ。

「弱点〜?苦手な音とか嫌いな人とか〜?」

「違う!コースや体力、戦術のテニス関係だ!お前はどういう発想してんだよある意味弱点だけどな!」

「…その、色素の薄い目で〜?」

キラキラと香奈の目が輝きだした。見ただけで、と言うのが非常に興味を引くものなのだ。
香奈は慣れで推測するが、跡部は違う。そんな仮説を頭に浮かべた。その間に現在作成中のOSについてのプログラムも、平行して考えている辺り理系に特化した脳みそだ。

「普通に青い目って言えばいいような。」

「岳人、香奈ちゃんそういう事考えんみたいや。…そういや跡部ん事生徒会長って呼んどるな。名前知っとるんか?」

「ううん。役職あるなら〜それで区別する〜。」

本気でこいつマネージャーにするのか。跡部に視線が集まった。

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