理系バカと呼ばれ | ナノ
神様?何それ面白い?
結局、暇があるなら香奈を連れ回す強硬手段に出たのだが。
クリスマスはプレゼントを贈る日本。悩まずにはいられない。香奈に欲しい物を聞いても、ろくでもないとは解っているのだ。
クリスチャンの知り合いから、毎年あれこれ贈られているなど知る由も無い。
「…どうするの跡部。」
「普通贈るもんだろ、アーン?」
帰国子女跡部。当たり前だと言わんばかりだが、贈る人に問題がある。不二のぐったりした問いに即答するくらい、慣れ親しんだ文化なのだ。
「じゃなくて!香奈ちゃんに何をプレゼントしたらいいのか!」
古典的かつベタでキザな、プレゼントは自分という訳にはいかない。本気で一生飼い殺しにされる。香奈はおそらく、誰であろうとやるからだ。
意味を解っていれば、の話だが。青学の面々は香奈に目を付けられ、協力願いを出されているのだ。
「連名で事情を知らない幸せな方をプレゼントと言う案がありますよ。私達がボールを当てたご老人など如何です?」
「木手!オジイに死ねって!?そもそもそれ生贄だろ!」
「または人身御供だな。木手、それは無理だ。」
謎が謎を呼ぶ六角のオジイを、確かに知りたいが実験に行ってらっしゃいと送り出すのは良心が痛む。もっと穏便なプレゼントを考えるべきだ。
香奈の琴線に触れるプレゼントを、普通の中学生は渡せない。
「なら謙也」
「侑士ぃぃ!そんときゃ自分も道連れや!」
氷帝、青学は生身だが他はネット回線。しかし騒がしくて仕方ない。
侃々諤々、喧々囂々と案が出されては、却下されていく。
千歳を香奈の下へ自発的に向かわせる計画、無邪気で無垢な子供故に香奈と仲良しな金太郎を遊びに行かせる。どれもこれも、誰かが恐ろしい目に遭う。
「…なぁ跡部。もうこの際プレゼントは贈るもの何だって信濃さんに教えて、それぞれ財布と相談すればいいんじゃないのか?」
「大石…お前香奈が何貰ったらどうするか解んのか…?」
至極当然の疑問。大概のものは作る、と思われている香奈は無機質すぎる部屋の住人だ。
インテリアなど論外、跡部から押し付けられた洋服も無理やり押し込んだような状態。そして香奈は日本が世界に誇る科学者なのだ。
「ゲームは分解しそうだにゃー。」
「菊丸、プログラムを延々と解読しかねないぞ。ゲームにもプログラムはあるのだから。」
丸井が当番の際、ゲーセンで被害に遭っている。だが結局、これと言う名案は無くそれぞれ当たり障りの無いプレゼントを贈る。
世界各国から山積みになるプレゼントと、香奈は2日程格闘していた。
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