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紅花コラボ小咄

2011/03/30 12:51

水仙

「お前、そのラケット何で出来てるんだ?」

かねてからの疑問。あれだけの馬鹿力を持つ鈴に、市販のラケットは耐えきれない。
試合をしたからこそ、解ると鬼が直球で尋ねた。鈴は首を傾げ、さらりととんでもない事を言ってのけた。

「…あの、詳しくは全く解らないんですけどタングステン?を使って強度維持で軽量化を追求したとか何とか。」

タングステンは稀少金属であり、重くて硬い事で有名だ。聞いていた高校生達は開いた口が塞がらない。
中学生には、よほどの科学好きでもなければ解らないのだ。

「ちなみに、買おうと思っても家財じゃ足りない値段ですから。鈴先輩専用オーダーメイドの科学者が倒れるまで実験を繰り返した国宝クラスの品です。」

満がにっこりと補足説明をしたが、徳川などはペットボトルを握りつぶしそうな勢いだ。値段はともかく、スケールが大きすぎる。

「博士、蓮二さんと真田君に終わってからお説教されてたもんね。」

「水しか飲まずに一週間引きこもって溶かしては固め実験してまた抽出と普通なら数年越しらしいですからね。」

鈴が満に笑いかけ、満も呆れたように頷いた。
あの世界でも指折りの科学者にして、氷帝の問題児。人間性の欠片も見当たらない彼女が、躍起になって作り上げた逸品だ。
まさしく、世界に一つのオーダーメイド。

「予算だっけ?実費だっけ?一兆6500億円、って聞かされたよ。」

「それは実費ですね、跡部さんが頭を抱えていたので。」

立海レギュラーも度肝を抜かれた、鈴の研究。さらに六角中のオジイがウッドラケットを作ったが、見事に破壊された為彼女へと依頼が舞い込んだ。
リアル斬鉄剣とほぼ同じ素材を、軽量化する事に不眠不休を約一週間。その研究が成功したからこそ、鈴はサイエンティストの魔手から解放されたのだ。

「赤也も規模が大きすぎて解らない、って言ってましたから。モンハンとPSPを新品で三百万くらい買えると言っても仕方ないですからね。」

「蓮二さんは立海の図書館を何回建て直せるかと計算してたけど、博士がポケットマネー使ったとも聞いたなぁ。」

金銭感覚が麻痺しそうな話ではある。


小咄ばかり書いていますがやっぱり通常運転に戻すべきか否か悩んでいます。
日常が不穏な主人公達なもんでして…ご意見お待ちしております

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