どうやらソファーに腰かけているようで後ろ姿をみつけた。腰ぐらいまでありそうな長い髪の毛。
「(女の人?でも、声は男だった…)」
じーっと凝視する。…透けてない。でも気配が全然しない。注目してみてないと見失いそうなぐらい気配が希薄でそこにいるかどうか怪しかった。
「……なにもしないから」
「!」
くる、っといきなり振り返ったのでびくんと心臓が跳ねた。体が震えて固まる。唯一自由な目と目が合う。怖さよりも綺麗な瞳に目を奪われた。
「(おっきい瞳…綺麗な人だなあ…)」
黒い長い髪に黒くて大きな瞳。白い肌。体格からして男の人のようだ。日本人…この世界ではジャポンか…の人だったら嬉しいな…いやっおばけはやだけど!
とりあえずゆっくり近づく。
「絶は誰に習ったの?」
「っえ!…えっと、ヒソカさん…です」
「ふーん。念を覚えてどれくらい?」
「……二ヵ月…ぐらい?です…」
「…へえ」
そこまで聞くと黙り込んだ。こ、ここここのおばけ念知ってる!バスルームから出るときに絶を使ったのはバレバレだったようだ。どうしよう念能力使ってくるおばけとか!わたし戦える気がしないんだけど!!
「こっち」
「え!…っと…はい」
テーブルのところの椅子に座ろうとしたところをソファーを指差されて固まる。対面とか、心臓がもたないですよ?!とりあえずおばけの向かい側一番遠いところに座った。
「…言っておくけど」
「はいっ?!わたしにできることならなんでもしますよ?!成仏のお手伝いとか!それぐらいしかできないですけどっ!お役にたちます!だから殺すのだけはっ「ちょっと黙って」……っぐす」
また泣きそうになる。
慌てて言葉と一緒に涙を飲んだ。
「俺おばけじゃないから」
「………え?…えっ!…え?」
思いがけない言葉に頭の中は真っ白。
え?オバケジャナイ…え?
「ほら、触れる」
「…!っあ…ほん、とだ」
手を掴まれて一瞬びっくりするが
触れる。冷たいけど、人の肌触りだ…。
「君バカなんだね」
「…うう」
初対面の人にまで言われた…!そりゃあおばけと勘違いしてあそこまで騒いだのは…バカ、だったけど!でもノックもなしでいきなり部屋に入ってくるなんておかしいでしょ!