「んー癒されるー」
そこまでは大きくないが立派な滝がドドド、と音をたてて流れている。水をすくって飲む。んー冷たい!
休憩もかねて一度絶を行う。見よう見まねだが座禅を組んで集中する。30分ぐらいそうしてから立ち上がった。
「よし、やるぞー!」
軽く屈伸と伸びをして座禅でのこりをほぐす。んー寝るとこだった危ない危ない。水のそばに近寄る。覗いてみると自分が映っていた。透き通っていて水底がみえるほど綺麗な水だ。
声を、強化…
喉の辺りを意識して念をこめる。
「(あ、でもなんて叫ぼうかな?)」
集中しながら頭のすみで考える。「わ!」とか「あ!」とかでもいいかなー言葉とかのが効果あるのかな…あ、そうだ!
すう、と息を吸って
「ヒソカさんの、バカアアアア!!!」
吐き出した。思いも込めて。
―バシャアン!!!
「わわっ!」
うまく成功したらしく水が勢いよく弾けとんだ。飛沫が飛んできたので慌てて離れた。
「…成功、かな?」
どうやらうまくいったらしい。でも…これじゃあ隙だらけだ。もし敵に攻撃するとき使ったら息を吸っている間に間合いを詰められたり銃なんかだったら簡単にやられるだろう。
「んー息を吸う時間を短縮…あ、でもそれより小さな声でも攻撃力がでるようにした方が…」
「ゆあ◆」
「うわぁああああ?!」
いきなり後ろから声をかけられて思わず叫ぶ。び。びびびびっくりした!振り返るとヒソカさんが立っていていつのもニヤニヤした笑みを浮かべていた。
「あれほど円を怠るなってボク注意したよね◆」
「ふわぃ、ふみまへんれひは」
「クク、ひどい顔◆」
いやいやいやほっぺをつまんで伸ばしてって遊んでるのはヒソカさんですからね?!いつも考え事とかしてるとどうにも周囲への注意ができずにこうやってよくヒソカさんに怒られる。
「で、ゆあ」
「痛い…はい?」
ようやく離してもらえて痛むほっぺをいたわった。
「さっきの叫び声はどういう意味かな?◆」
「えっ?!………あっ、聞いてたん…です、か?」
「うん◆」
やばい、やばい、やばい!冷や汗がだらだらと背中を流れた。さっきのってあれだよね?ヒソカさんの〜…ってやつだよね?!こ、こここ殺される…?!
「えっと、えっとですね…!修行!そう修行しててですね!」
「うん」
「声!声を強化、できたら面白いなーって!それで、えっと」
汗をだらだらと流しながら必死に話す。思わず早口になってしまうがもうどうにでもなれ!状態だった。
「あの、なんかうまくいったみたいなんですけど…その隙とかが大きいから、戦いには向かないかな…って考えてて」
「ふーん◆」
「あの、その…怒ってます?」
「ん?怒ってないよ?◆」
「…ほんとですか?」
うん◆と、とりあえずヒソカさんはいつもの笑みを浮かべていたのでちょっとほんのすこーしだけ安心した。
「それ、もう一回できる?」
「えっは、はい!」
とりあえずいまは考えないようにして
慌てて念をこめることに集中する。